直木賞作家と人気写真家が初タッグ! 桜木紫乃&中川正子『彼女たち』刊行記念対談 「紙の本であることの意味について考えながら」
10月13日に自身初となるフォトストーリー(写真絵本)『彼女たち』を上梓した桜木紫乃さん。3人の女性の人生の1ページを描いた物語は、発売前の「ゲラ読みキャンペーン」でも大好評。「涙が出た」という声が多数寄せられました。本作でタッグを組んだのは、SNSで発信するライフスタイルが人気の写真家・中川正子さん。直接会うのはこれが2度目というおふたりに、本作での初めてのチャレンジについてうかがいました。 (写真=中川正子 構成=編集部)
中川正子さんと出会い、2年かけて書いた文章をボツに
──『彼女たち』は、イチコ、モネ、ケイという3人の女性を描いた短い物語と写真で構成されています。人間関係につまずき、ひとりぼっちを選んだイチコ。家事・育児・仕事に追われて自分を見失いそうなモネ。最愛の人との別離を経たケイ。彼女たちの人生は、とある喫茶店でほのかに交わります。 大きな事件が起こるわけでもなければ、日々の困りごとがわかりやすく解決するわけでもありません。けれど物語のラストでは、なにかがほんの少しよい方に向かっている。そのバランスが絶妙で、「ひょっとしたらこのな…