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河畔に標なく (集英社文庫)

河畔に標なく (集英社文庫)

河畔に標なく (集英社文庫)

作家
船戸与一
出版社
集英社
発売日
2009-07-16
ISBN
9784087464580
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河畔に標なく (集英社文庫) / 感想・レビュー

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ntahima

衝撃の『非合法員』、灼熱の『山猫の夏』、諦観の『砂のクロニクル』。そして『虹の谷の五月』で直木賞を受賞したが、何故かそれを境に著者本を読まなくなってしまった。久方振りの船戸節。代表作とは言えないまでも最後の桃源郷・秘境カチンの森を舞台にしたという点では貴重な作品。森こそが真の主人公!参考文献にも挙げられている高野秀行著『西南シルクロードは密林に消える』、『アヘン王国潜入記』を事前に読んでおくことを強くお勧めする。但、二人の描く山地民の姿は大きく異なる。高野氏描く脱力系ゲリラでは冒険小説にはならないか^^;

2012/05/12

きょちょ

彼の作品の面白さの1つは、その時代その国の実情がしっかり描かれているところにある。 今回は2005年のミャンマー。 政情が安定していなく、アウンサン・スー・チーで有名な国。 日本人・中国人・ビルマ人・カチン人・ナガ人、それぞれの主人公がそれぞれの目的でインドとの国境に向かう冒険小説。 ただ、彼のトップ級の作品との違いは、人物それぞれがやや表面的なところ。 まあそれでも、どうなることやらと先を楽しみに読めた。 最後は虚しさが漂う作品。 ★★★★ 

2020/04/12

HoneyBear

ミャンマーの情勢を江戸時代に擬える高野氏の見方にも唸らされたが、高野氏の探検部の先輩が書いたこの小説は、トラやコブラが徘徊し、少数民族が混在する山岳・密林地域の混沌を垣間見せてくれた。言葉が通じず裏切りが日常茶飯事の世界。コチコチの唯物主義者だった老人に言わせる。精神的空間がとてつもなく広くて、一つの価値観で推し量ろうとするのは土台無理な世界だと。そして、情熱や執念を燃やしても富を手にしても運を使い果たしたら終わりだと。結局は諸行無常と言うことか。船戸氏の冥福を祈ります。

2015/09/04

takeshi3017

おなじみ船戸氏の冒険小説。ミャンマーが舞台。ミャンマー の山岳地帯に二百万ドルを積んだヘリコプターが墜落。カチン独立軍の支配地域なので国軍は捜索隊が出せない。そこでこの二百万ドルを内密にかっさらおうとする男たちと二百万ドルを見つけ国外逃亡しようとしている男を追うマン・チェイスものとも読める。いい意味で初期の頃の船戸作品のようで楽しく読めた。密林の中を駆けずりまわるだけなのに面白い。詳細→ http://takeshi3017.chu.jp/file8/naiyou10138.html

2021/01/08

舞台はミャンマーの密林へ。様々な民族や背景が入り混じり、解きほぐせない精神世界の深みの中に国がある。色々言われる国だけど、浅くて狭い精神世界が作った面倒で細かい決まりの中で自滅する日本人がとやかく言うのは間違いだろう。滅びていく登場人物のセリフを通じて、なんだか太いメッセージが込められていそうな気がしたのは、考えすぎだろうか。

2019/12/26

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