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ばらばら死体の夜

ばらばら死体の夜

ばらばら死体の夜

作家
桜庭一樹
出版社
集英社
発売日
2011-05-02
ISBN
9784087714029
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ばらばら死体の夜 / 感想・レビュー

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エンブレムT

嫌な物語だと思いました。「大勢のユーザー向けのわかりやすい大味な幸福」は一切描かれていません。登場人物の誰にも感情移入などしたくありません。なのに、矢のように突き刺さる言葉がいたるところに点在しているという・・・しみじみタチの悪い小説です。・・・「お金」という地獄に囚われ、もがき彷徨う者達。それを蔑み高みから眺める者達。感じの悪いねちっこい笑顔を向けられたかのような不快感を覚えましたが、どちらの者に対して抱いたのかがわかりません。目に見えない何かに気力を奪われたような・・・奇妙なだるさが残る読後感でした。

2012/03/26

くろり - しろくろりちよ

消費者金融が大手を振っていたあの時代、何が起こっていたのか。知り合いの知り合いまでたどればどこでも聞くような当たり前の借金の話。彼ら一人一人にどんな背景があったのか。普通の人が普通に借金が出来て、取り返しのつかないことになってしまう。ばらばらになったのは一人じゃなく二人とも。一人は死体がばらばらになり、一人は精神がばらばらになった。…借金をした時点から、少しずつばらばらになっていた。あの時代を体感した世代なら一種ノスタルジーを感じるはず。遠くて近い落とし穴。堕ちた人は自分の周りにも居たかも知れない、と。

2012/09/27

いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】

図書館*消費者金融ホラー*翻訳家、吉野解は、かつて自分が下宿していた古本屋の二階で謎の女性、白井沙漠と出会う。その妖しい魅力に取りつかれ、次第に深い関係を結ぶ。だがある日、沙漠が解に借金を申し込んだことから歯車が狂い始め・・・(紹介文・他より)――えらい恐ろしいものを読んでしまった!エゲツないお金のリアリティーは勿論のことですが、本書の真に恐ろしいことは、主人公・解の邪悪さだと思います。ネタバレなので何も申し上げることが出来ませんが、これは強烈でした!お金の業の深さが垣間見える傑作!真っ黒ですが良書!

2013/10/19

くりきんとん99

『伏』や『GOSICKシリーズ』とは全然違う桜庭一樹さんらしい作品だった。このどうしようもなく暗闇な感じが『私の男』を思い出した。沙漠と解は出会うべきして出会い、事件は起こるべくして起こったという感じ。いったいどうなっていくのか気になって一気に読んでしまった。相変わらず登場人物は変わった名前が多いですね。

2011/05/16

ミナコ@灯れ松明の火

流石の筆力で今回も息つく間なしの一気読み。孤独な女の抱える閉塞感が息苦しい。殺人そのものもとてもグロテスクだったけれど、それよりも殺人に至るまでと殺人からその後の様子の描写がとても印象的だった。閉塞感の挙句に殺人を経験しながらも、あくまでもだらだらとした普通の日々らしきものを送る様子が逆に狂気を感じさせて恐怖。通い慣れているはずの街で迷子になるのと同じように、ほんの少しの簡単なことで境界線を越えてしまう人々が切なかった。

2011/12/04

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