ふたご (文春文庫 ふ 46-1)
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「ふたご (文春文庫 ふ 46-1)」のおすすめレビュー
セカオワ・Saoriの処女作として反響を呼んだ『ふたご』がついに文庫化! みんなはどう読んだ?
本日発売の「文庫本」の内容をいち早く紹介! サイズが小さいので移動などの持ち運びにも便利で、値段も手ごろに入手できるのが文庫本の魅力。読み逃していた“人気作品”を楽しむことができる、貴重なチャンスをお見逃しなく。 《以下のレビューは単行本刊行(2017年)後の紹介です》
『ふたご』(藤崎彩織/文藝春秋)
処女作にして直木賞ノミネートで話題の『ふたご』(文藝春秋/藤崎彩織)。SEKAI NO OWARI(セカオワ)のピアニスト・Saoriさんが、ボーカルのFukaseさんに勧められて書き始めたという本作は、女社会の中でうまく立ち回れない不器用な夏子と、感受性が強すぎて生きづらさを抱える繊細な少年・月島だ。
中学2年のときに出会った1つ年上の彼を、夏子は“寒空の下にいる動物みたい”だと感じた。どこにも自分の居場所が見つけられない、誰にも理解してもらえないさみしさを、言葉などなくても共有しあった2人は、互いを誰より大切にいつくしむようになる。
“ふたご”のようにしっくりくる彼は、夏子にとって親友であり、家族も同然だ。ときに恋人と呼称することもあるのだが、し…
2020/9/2
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ふたご (文春文庫 ふ 46-1) / 感想・レビュー
しんごろ
セカオワの日常を垣間見たような物語。私小説的な感じもする。月島が心の病気だとしてもだ、病気だから何を言ってもいいのかと言いたくなり、なんか腹が立ちましたね。どんなに酷い言われ方としても、ついていく夏子も夏子だと思いつつも、もう好きだの愛だの越えて、それは情が入ったんだろうなと思うけど、夏子にも腹が立つというか…。イライラしました。人はそれぞれ、恋人達もそれぞれ。まあ、月島と夏子の関係は恋人というか、兄妹のよう。決してふたごではないなと。そして、二人とも生き方が不器用だと個人的には思いました。
2022/09/25
遥かなる想い
「ふたご」のように思われて生きた彼との物語である。月島への想いが清澄に語られる。 出会いから バンドデビューまでの日々が 丹念に描かれる…やや単調だが、真摯な想いが 印象的な …そんな作品だった。
2021/08/09
美登利
衝撃的でした。直木賞候補になった時に読もうと思っていましたが、なかなか手に取れず。文庫本はあとがきや解説があるから良かったです。藤崎さんのバンドは歌番組で知っているくらいですが、もしかして私小説なの?と思ってここまで書いても大丈夫なのかしらと気になりつつも。ファンだったら始終モヤモヤが止まらないかもしれないな。そのくらい主人公の夏子と月島の関係がとても辛くて狂おしい気持ちになりました。多感な中学生の頃の出会い。それをずっと引きずってしまうのは何となく分かるようで少し青春時代に戻った気分です。
2020/10/19
fwhd8325
読書をしていて、こんなに動揺したのは初めてかもしれません。上手く言葉で表現できないけれど、怖かった。激しくて繊細。どう扱い、接したらいいのかわからない世界。それでも、次から次へと誘う魅力を感じていました。感性の塊のような物語だと思いました。解説を宮下奈都さんが書かれていますが、これがとてもわかりやすく丁寧です。
2020/09/13
ひめか*
心理描写が上手い。二人の関係はもどかしくも愛おしい。月島は私が出会ったことのないタイプで、どこに飛んでいくのか、不良なのか真面目なのか分からなくて、そういう危うさに私も一緒に何度も振り回された。ちゃんとしてよと言いたいけど、月島はいつも良いことを言うし、言い分にも一理あるなと考えさせられる。何の前知識もなく読んだけど、セカオワの誕生か?と思った。どこまで現実とリンクしているのかは明らかにされていないが、やはり深瀬さんとさおりさんに重なって、こうやってバンドが生まれたのかなと感じた。そう考えると感動的だな。
2021/03/02
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