KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

太陽と毒ぐも (文春文庫 か 32-17)

太陽と毒ぐも (文春文庫 か 32-17)

太陽と毒ぐも (文春文庫 か 32-17)

作家
角田光代
出版社
文藝春秋
発売日
2021-07-07
ISBN
9784167917227
amazonで購入する Kindle版を購入する

太陽と毒ぐも (文春文庫 か 32-17) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

さてさて

11組の恋人たちの関係性の中に芽生えた『違和感』に光を当てていくこの作品。そこには、付き合いはじめた時には見えなかった相手の隠された姿が、もしくは付き合いはじめた時には意識が低かった事ごとが、二人の関係性を維持していく中で大きな『違和感』となっていく様が丁寧に描かれていました。二人の関係性の中に見え隠れする『太陽』と『毒ぐも』のせめぎ合いの絶妙さを見るこの作品。人と人とが長く付き合うことの意味を感じもするこの作品。角田光代さんならではの着眼点の面白さに、改めて作品作りの上手さを垣間見た、そんな作品でした。

2023/09/19

aoringo

傍からみたら普通のカップル。でも相手は盗癖だったり、アル中だったり、一癖持っていた人達だった。お風呂に入らないから臭い、食事がお菓子だけとかはきついなと思うけど、もし付き合う前に分かっていたら恋人になっていただろうか。恋愛初期だったら気にならないかも知れない、でもこれはそれから数年後の話。相手に苛立ちながらも中々別れない登場人物に読んでいて付き合うって何だろうと考えてしまった。

2023/09/11

misa*

恋人同士の生活の中での出来事を綴ってるんだけど、最初はおもしろく感じてた相手のある部分が、時として怒りや悲しみに変化してゆく。恋愛してく中で一度は経験するだろうお互いの違いが、くっきりと形をあらわにしていく様は、角田さんならではの描写で書かれていてスラスラと読めちゃう。昔自分も恋人の許せない言動だったり癖があって、どんなに好きでいてもその一部分を見る度に音を立てて歪みが生まれていた。結局は一番嫌いな人になって別れた。そういうヒリヒリした作品が集まった短編だった。

2021/07/27

角田さんの恋愛小説はリアルで、飾りがなくて、心の奥底の痛いところをグイグイ突いてくる。本作品もそんな一冊だった。どこにでもいるような11組のカップルのお話。付き合い始めた当初は気にならなかった相手のある部分が、時を重ねるごとにどうしても許せなくなっていく。自分だったらどれが一番無理かな・・なんて考えながら読んだ。どれも甲乙つけがたい(笑)2004年の作品だけれど、全く古さは感じなかった。

2021/08/30

みつにゃん

11組のカップルの姿の話。どちらかが『極端な人』。お風呂に入らない、万引き常習犯、買い物依存症…etc 好きだけれども、どうしても許せない部分があり、その許せなくなる側の葛藤に共感する。一緒に住むとどうしても出てくる部分。わかりやすすぎて既視感…の箇所あり。本文の中で2人の関係をドレッシングみたいだと例える部分がある。油と酢のようにくっきり独立した両者には、それ相応の気負いと行為が要る。かき混ぜ、譲歩も変更も楽しかったけど、放置すればすぐに分離する。…表現が秀逸。みんなあるよね…とどこかホッとして読了。

2021/07/25

感想・レビューをもっと見る