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W県警の悲劇 (文芸書)

W県警の悲劇 (文芸書)

W県警の悲劇 (文芸書)

作家
葉真中顕
出版社
徳間書店
発売日
2019-01-19
ISBN
9784198647520
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「W県警の悲劇 (文芸書)」のおすすめレビュー

<ネタバレ厳禁>華麗なる仕掛けが満載! どんでん返しに満ちた警察小説

『W県警の悲劇』(葉真中顕/徳間書店)

 ドラマ「3年A組 ー今から皆さんは、人質ですー」(日本テレビ系)が注目を浴びた理由のひとつは、どんでん返しに次ぐどんでん返しが用意されていたことだろう。人はみな「真実を見抜きたい」と同時に「騙される」ことを望んでいる。だが、だからといって、騙しが先行して無意味に物語をひっくり返されたり、手口がパターン化したりするのではつまらない。新鮮な驚きと、やられた! という悔しさ。真実を知ったときの納得感。そのすべてが揃っていたからこそドラマもヒットしたと思われるが、同じように、読者を華麗に騙してくれる小説がある。葉真中顕氏の『W県警の悲劇』(徳間書店)だ。ただしこちらは3年A組と違って、読者の正義をも裏切りかねないので注意してほしい。

 本作はタイトルどおり、W県警を舞台にした警察小説。どんでん返しが読みどころだけあってなかなか作品紹介がしづらいのだが、「警察官の鑑」と慕われる父が謎の突然死をしたことをきっかけに、娘であり警察官でもある熊倉清が警察の暗部に触れる第1話「洞の奥」から始まり、女性警察官を主人公にした6編…

2019/3/16

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芦名星「1話から見所満載!!」 葉真中顕の『W県警の悲劇』が芦名主演でドラマ化決定!

『W県警の悲劇』(葉真中顕/徳間書店)

 葉真中顕の小説『W県警の悲劇』が、芦名星主演でドラマ化されることが明らかに。この発表にファンからは、「あのぶっ飛んだ内容をどう映像化するのか楽しみ」「芦名星さん主演キターッ!」と歓喜の声が後を絶たない。

 原作者の葉真中は、『凍てつく太陽』『ロスト・ケア』『絶叫』など数々の衝撃作を生み出してきた小説家。2018年発売の『凍てつく太陽』では、「第21回大藪春彦賞」「第72回日本推理作家協会賞」を受賞している。心抉られる社会派サスペンスの名手として名高い、大注目の作家だ。

 芦名演じる松永菜穂子は、警察内部を取り締まる女性警視。生まれ持った洞察力や観察力を駆使し、各所轄にいる女性警察官と対峙していく。彼女が目指すのは県警本部の幹部たちの集い、通称「円卓会議」のメンバー入り。しかし対峙する女性警察官たちは、どれも一筋縄ではいかない。女性たちを追及していく菜穂子だったが、実はそれぞれ何かしらの“秘めごと”を抱えているようで――。

 原作や台本をチェックした芦名は、「読んでいてこんなに先を先をと、早く最後が知りたいと思…

2019/6/16

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W県警の悲劇 (文芸書) / 感想・レビュー

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鉄之助

期待しすぎて、ちょっとガッカリ、の1冊だった。最後の10ページで無理に劇的なオチをつけたため、着地に失敗した体操選手が”つんのめった”、読後感だった。地方採用の警察官の間にある「巨大な壁」。警視と警視正の違い、にまつわるドロドロのドラマをみっちり読みたかった。

2023/03/13

starbro

葉真中 顕は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。警察連作短編イヤミステリ、ライトな感覚ですが、著者ならではのポイズンが、其処彼処に組み込まれています。オススメは、『私の戦い』です。W県は、和歌山県しかありませんが、不祥事が多過ぎて、実名は憚られたのでしょうか(笑)

2019/02/07

しんたろー

『絶叫』以来の葉真中さん2冊目。地方警察で女性警官たちを主役にした連作短編。どの話も立場が違う主人公の目線で事件を追い、途中からは不穏な空気が漂う形式で「どうなる?」と興味を引き、終盤でガラッとひっくり返す筆力は見事だと思うが、人心の闇が強くて気持ちが暗くなる。それは女性である悲哀と強かさが生々しくリアルなので、男の私には恐ろしく感じるのかも知れない。トリックも伏線回収もフェアなのでミステリとして正統派だと唸らされたが、印象としては「NEWイヤミス」と言える感じ…「上手い!けど、後味悪~い!」と呟いた。

2019/03/29

ウッディ

女性の地位が低い警察社会、特に男尊女卑の考えが強いW県警の女性刑事達とメスの警察犬の活躍を描いた軽いミステリー。軽く読めて、意外な結末を迎える事件の謎解きは、イヤミスあり、叙述トリックありとバラエティに富んでいて面白く、葉真中さん、こんな小説も書けるんだという驚きもあった。ただ、Wの悲劇を文字ったタイトルは和歌山県に思えて仕方がなかった。県警初の女性警視正になった松永菜穂子のこれからの活躍を期待していたら、そういうオチだったのね〜。面白かったです。

2019/04/30

Yunemo

「政治的に正しい警察小説」からの流れでの本作品と理解して。5編ともにそれぞれにW県警警察官の人的な心の闇を、ひとひねり、どんでん返しによって、「洞の奥」から「消えた少女」により完結、でもね今後どうするんでしょうねW県警は。全体的にひねり過ぎて、逆になんだかなぁという感覚も一面にあって、決して賞賛ばかりじゃなく戸惑いも。でもね嫌いじゃないですよ。新境地としての警察小説に今後の期待感が募っています。前代未聞の警察小説の名に恥じぬ作品、ロスト・ケア、絶叫に繋がる作品と交互に読み比べていくのが楽しみになりました。

2019/02/11

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