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罪深き緑の夏 (河出文庫 は 24-1)

罪深き緑の夏 (河出文庫 は 24-1)

罪深き緑の夏 (河出文庫 は 24-1)

作家
服部まゆみ
出版社
河出書房新社
発売日
2018-08-04
ISBN
9784309416274
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罪深き緑の夏 (河出文庫 は 24-1) / 感想・レビュー

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ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

幼い頃に訪れた山の上の蔦屋敷。美しい少女、禍々しい屋敷の姿、かけられた呪いのことば。暑い夏によく似合う、白昼夢のような体験。 その悪夢を忘れないまま売れない画家となった淳に、ふと訪れる美しい少女との再開。時を同じくして起きる不可思議な事件の数々。 屋敷の陰鬱、美しい人びとの内の歪みと夏の熱。息苦しく禍々しく、あやしく美しい世界に浮かされて。美を崇め、それに囚われた人びとの悲しい愛と憎しみの物語。好きです。大好物です。この人の作品ぜんぶ読みたい。美しいこの作品の世界を表現できずもどかしい。

2019/07/15

mii22.

決して謎を解き明かそうとしてはいけない。この美しきものたちを壊してしまうから。ひたすらこの耽美な世界に浸ろう。著者初期の作品ゆえに文章の堅さはあるものの世界観は圧倒的だ。『この闇と光』より私はこちらの方が断然好み。この欲望と背徳の美しい世界に一度足を踏み入れたら、絡めとられてもう脱け出せない。読了後しばし茫然の一冊。

2018/08/07

JKD

壮麗な蔦屋敷に美童虐殺。不思議な陶酔と恐怖が入り混じった妙な感覚に陥る。ラストは確かに衝撃ですが、それ以上におかしなモヤモヤが残りました。

2018/09/09

カナン

甘美な悪夢が紙面から滲み出て、こちら側までをも侵食していく。目が眩むほどのその美しさも、窒息しそうな湿度も、熱に火照る体すらも、全てあの夏の日に置き去りしてきたはずだったのに。主人公を次々と苛む事件も悲劇も冴え冴えと彩っていく、兄達と少女達の圧倒的で暴力的なまでの美。バジリスクの瞳、長く垂らしたラプンツェルの髪、細い指が摘み取った皓く輝く銀竜草。謎は謎のまま残されて、誰よりも貴方に囚われたまま物語は事切れる。死臭とテレピン油の匂いに歪む視界の中で、緑の茨に囚われたままの永遠の少女の唇が誘う、悪い夢の続き。

2022/08/06

*maru*

囚われの夏…。蔦屋敷と呼ばれている洋館で暮らす美しい兄妹と、画家志望の異母兄弟。彼等の運命は、蔦のように絡み、縺れ合う。深い緑に染まる景色、濃密な草いきれ、神秘的な銀竜草。鮮やかな情景描写とは対照的な語り手の心理描写が、不可解な事件や美童虐殺と相まって物語に深い深い影を落とす。大人になった百合が輝きを失ったように感じたことはただの思い過ごしだろうか。彼女も気付いてしまったのでないだろうか。愛する者の瞳に、自分はもう映っていないということに。本当に罪深きは誰だ…。この上なく美しく、残酷な夏の余韻。

2019/07/19

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