「切腹」すればいいのか? 『ゴルゴ13』のリイド社が手掛けた『葉隠物語』から読み解く「武士道」とは?
『葉隠物語』(藤原芳秀:作画、安部龍太郎:原作/リイド社)
「葉隠」といえば武士道を説く古典中の古典。だが、「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」という文言が第2次世界大戦時に悪用されたなんて話もあり、なんだかとっつきにくいものと感じていた。引用語句を取り上げた本がビジネス書や自己啓発書の棚にずらりと並び、どうも人生終わりかけた年配のおじさんたちが人生を振り返るために読むもの、という印象を拭えなかったのだ。“引き際は美しい”に越したことはないが、そもそも死んで責任が取れるのか…。
しかし、このコミック『葉隠物語』(藤原芳秀:作画、安部龍太郎:原作/リイド社)が、私の「葉隠」感を変えた。「葉隠」のありのままの内容はもっとシンプルで、私たちの日常生活にも当てはまることなのではないか。原作者の安部龍太郎氏も、それを伝えようとなさったのでは。
「葉隠」の筆録者とされる田代陣基(たしろつらもと)が死ぬ前に一度会ってみたかった藩きっての曲者(ここでは命知らずの剛胆な人物という意味)山本常朝の庵を訪ねるところから序章が始まります。切腹を命じられた友をかばい停…