密告、連行、逃げ場なし! 強烈な世界を描いた伊坂幸太郎の新刊『火星に住むつもりかい?』
SFやファンタジーを想像してしまうこのタイトル。第1章は相当に強烈です。描かれるのは、近未来のような、現在のような不思議な時間軸。「平和警察」と呼ばれるナチスのような集団が、理由のあるなし関係なく、一般人を連行し、拷問し、有罪と見なされれば公…
SFやファンタジーを想像してしまうこのタイトル。第1章は相当に強烈です。描かれるのは、近未来のような、現在のような不思議な時間軸。「平和警察」と呼ばれるナチスのような集団が、理由のあるなし関係なく、一般人を連行し、拷問し、有罪と見なされれば公…
「大人」という存在は、子供が生み出した幻想に過ぎないかもしれない。年を取るたびにそんな風に思ってしまうのは、自分が子供の頃憧れていた大人になれていないためだろうか。子供の頃の自分が今の自分を見たらどう思うのだろう。過去の自分に誇れる自分に…
『キャプテンサンダーボルト』阿部和重、伊坂幸太郎 ●あらすじ● 小学生時代、同じ野球チームだった相葉時之と井ノ原悠。各々の理由で人生に行き詰った二人の男は20代後半で再会し、命を危うくするトラブルと、一獲千金のチャンスに巡り合う。東京大空襲の夜…
『アイネクライネナハトムジーク』(伊坂幸太郎/幻冬舎) この物語の始まりは、ちょっと変わっている。本書には6つの短編が収録されているが(そしてそれらはもちろんリンクしているのだが)、冒頭の「アイネクライネ」は2007年、シンガーソングライター斉藤…
どんな子どもの背にも親の影が射す。どうあがいたって子どもは親に似るものだし、ましてや、同じ屋根の下で同じ物を食べて同じテレビを見て同じ空気を吸っていれば、血が繋がっていようがいまいが、自然と似た思考回路を持つのも当然だろう。2人の親の存在…
七尾は「マーフィーの法則」を地でいく心底ついていない殺し屋で、列車内どこかにあるトランクを見つけ出し、下車するだけの仕事をまかされて、東京駅発新幹線のはやてに乗車。殺し屋なのに機関車トーマスファンの檸檬とその相棒蜜柑は全くの別件で、業界内…
「マンガ大賞2011」ノーミネートのタイムストップSFマンガ『刻刻』は、水木しげる先生や小説家の伊坂幸太郎氏が絶賛したという作品です。特に伊坂氏は「最近、“何か面白いマンガありますか?”と質問されると真っ先にこの作品のことを口にします。質問されな…
連作短編と言うには話が続いている。むしろ5つの章に分かれた長編と言った方がいい。ところが驚くべきことに、書き下ろしの第5章以外は、それぞれ独立した短編としてすべて別の媒体に発表されたものなのだ。つまり単体で完結していたのである。それに少しば…