小池栄子が11年前にドラマで演じた『贖罪』をオーディブルで読む。湊かなえの名作と再会して生まれた「愛するとは?」という自問自答
湊かなえさんによる自身3作目の小説『贖罪』。田舎町で起きた小学生少女殺人事件に関わった人々が15年後に悲劇の連鎖を生む本作は、デビュー作『告白』と同様に、章ごとに変わる登場人物の独白によって構成されている。
本作が2012年にドラマ化された際、子供の頃からしっかり者で教師になった真紀役で出演した小池栄子さんの朗読により、Amazon Audibleが配信されることが決定した。本記事では、11年ぶりに『贖罪』と再会し、登場人物5人の独白をすべて1人で朗読した小池さんにお話を伺った。
(取材・文=立花もも 撮影=金澤正平)
――『贖罪』は、15年前に起きた小学生少女の殺人事件をめぐる5人の女性の物語です。殺された少女の母親が放った「あなたたちを絶対に許さない」という贖罪を強いる言葉を受けて、殺害の直前まで少女と一緒にいた四人の同級生たちがどのような人生を歩んだのかを描きだします。
小池栄子さん(以下、小池) 人間の感情に正解なんてないんだな、ということを改めて思い知らされる小説でしたね。少女の母親……麻子さんがどういう思いでその言葉を口にしたか、とい…