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「村田沙耶香」のレビュー・書評

開発の止まった白い街で、大人になる少女――。生々しく息苦しい青春小説

開発の止まった白い街で、大人になる少女――。生々しく息苦しい青春小説

『しろいろの街の、その骨の体温の』(村田沙耶香/朝日新聞出版) 「大人になるって、どういうこと?」  子どもに聞かれても、答えるのは難しい質問ではないだろうか。 『しろいろの街の、その骨の体温の』(村田沙耶香/朝日新聞出版)は、その答えの一端をのぞかせてくれる、思春期の少女の濃厚な心情を紡いだ小説である。  開発が頓挫して、「墓場」のようになった新興住宅地に住む中学生の結佳(ゆか)は、クラスで「下位」の存在。地味で目立たない女子グループに属…

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「10人産んだら、1人殺せる」――『コンビニ人間』村田沙耶香の衝撃作!

「10人産んだら、1人殺せる」――『コンビニ人間』村田沙耶香の衝撃作!

『殺人出産』(村田沙耶香/講談社) 「育子さんは今、殺したい人っていなんですか?」 「ちょっとだけ気になってる人は、いるかな。でも一生かけて殺すのに、本当にその人でいいかっていうと、悩んじゃうんだよね」  という会話が、ありふれた会社の平凡な会社員の昼休みに交わされる日本が舞台の『殺人出産』(村田沙耶香/講談社)。コイバナみたいなノリで殺人の話をするOL……怖いです。 「10人産んだら、1人殺せる」「命を奪う者が命を作る」という「殺人出産システ…

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セックスがなく、男性も妊娠できる世界―「家族」という概念は消滅してしまうのか

セックスがなく、男性も妊娠できる世界―「家族」という概念は消滅してしまうのか

『消滅世界(河出文庫)』(村田沙耶香/河出書房新社)  女性は子どもを産んで当たり前、大人は子育てをして一人前という時代は終わりを告げつつある。しかし、「LGBTは生産性がない」という杉田水脈衆議院議員の発言、東京医科大学の女性差別入試問題、2014年に新語・流行語TOP10に入って以来ニュースが絶えないマタハラなど、依然としてジェンダー認識の相克は絶えない。この度文庫化された『消滅世界(河出文庫)』(村田沙耶香/河出書房新社)は近未来的設定ながらもある程度…

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「普通」と違って何が悪い! 衝撃作『コンビニ人間』を読者はこう読んだ!

「普通」と違って何が悪い! 衝撃作『コンビニ人間』を読者はこう読んだ!

『コンビニ人間』(村田沙耶香/文藝春秋) 「どうして結婚しないの?」「どうして子ども産まないの?」「どうして就職しないの?」「どうして普通にできないの?」――世間というものは少しでも「普通」と違う人生を歩もうとする人たちにどこからともなく牽制が入れてくるものだ。どうして他人の人生に口を出してくるのだろう。「普通」という物差しで他人を評価してそこから外れた人たちを徹底的に批判する。世の中にはそんな空気が流れてはいないだろうか。 「普通」に生きることがそん…

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人はなぜセックスをし、子供を産むのか? “宇宙人”からはこう見えている!

人はなぜセックスをし、子供を産むのか? “宇宙人”からはこう見えている!

『地球星人』(村田沙耶香/新潮社) 人間は、働くのもセックスするのも本当は嫌いなんだよ。催眠術にかかって、それが素晴らしいものだと思わされているだけだ  芥川賞作家・村田沙耶香さんの2年ぶりの新作『地球星人』(新潮社)が刊行された。本作を手に取ったとき、このタイトルと表紙を見て「また、村田さんがすごいことをやってくれそうだ」と期待に胸が膨らんだ。  私たちは、宇宙の中で自分たちの存在を表すとき、普通“地球人”と表現するだろう。だが、作…

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36歳未婚・処女。普通ってなんだろう? 芥川賞受賞作『コンビニ人間』

36歳未婚・処女。普通ってなんだろう? 芥川賞受賞作『コンビニ人間』

『コンビニ人間』(村田沙耶香/文藝春秋)  36歳で未婚・処女。職歴はコンビニアルバイトのみで、18年間ずっと同じ店舗で同じ毎日を繰り返している。  世間一般で考えたら、「早く結婚しなきゃ」「ちゃんとした職業に就かなくちゃ」とか、将来に不安を抱くのが当然だ。  だが、『コンビニ人間』(村田沙耶香/文藝春秋)の主人公、古倉恵子に、そんな危惧は一切ない。意地を張っているわけではなく、本当にそれを「おかしい」とは思えず、悩んでいるとしたら、おかしいと思…

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