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さかき漣

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「さかき漣」のおすすめ記事・レビュー

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未来への想像力、水平線のむこう さかき漣著『エクサスケールの少女』【書評】

未来への想像力、水平線のむこう さかき漣著『エクサスケールの少女』【書評】

 出雲。父の実家が島根である私にとって、小さいころよく行った思い出深い場所である。AI。デジタル・メディア論や情報倫理を専門にしている私にとって、そのありかたを注視している存在である。『エクサスケールの少女』は、この両者が背景となっている。「太古の神話へのいざない」と「最先端のAI関連技術」という正反対のベクトルに加え、生/死、善/悪といった真逆の方向性が互いに強く引き合いながら物語に緊張感を与えている。

 主人公は、幼い頃の恨みを晴らすため、そして妹の不治の病を究明するため、スパコンやAIに希望を見出した。大きな震災や事件が相次ぐなかで、自分の作ったロボットと融合して、人間の知能をはるかに上回る「超知能」と化す。それはまさに「シンギュラリティ」(技術的特異点)の到来であり、結果的にバラ色の未来が社会に訪れ幕が降りる。

 物語は、政治家や宗教グループ、学者・研究者グループなどがそれぞれの思惑を抱えながら相互に働きかけ進んでいく。実際、社会に普及した技術は、一般的に人々の使用感や企業戦略、政府の政策などによって、ありかたが変わってくる。読者は、この…

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魚にも「意識高い系」はいる? ドワンゴ人工知能研究所の研究者たちは話題の「AI小説」をどう読んだのか?

魚にも「意識高い系」はいる? ドワンゴ人工知能研究所の研究者たちは話題の「AI小説」をどう読んだのか?

(左から)さかき漣さん、山川宏さん、大森隆司さん

2017年4月某日。人工知能の世界で最前線を走る3人によるAI鼎談が行われた。集まったのは、AIの未来とシンギュラリティを背景にしたSF小説『エクサスケールの少女』を上梓した作家のさかき漣さん、ドワンゴ人工知能研究所所長の山川宏さん、玉川大学脳科学研究所教授の大森隆司さん。まずは、本の感想を語り合うところから、鼎談は始まった。

大森隆司氏(以下、大森) 『エクサスケールの少女』を送っていただいて、読み始めたら2ページ目に、「『価値システム』を作らなければ(良心のシンギュラリティは来ない)」と書かれていて、衝撃的だったんです。それで本気で読まなければと思って。『価値システム』という、私個人の問題として研究していることに直撃だったので引き込まれました。ストーリー展開も面白くて、うわー、日本を潰している(笑)と、楽しみながら読ませていただきました。

さかき漣氏(以下、さかき) 私は読者を「景色が千変万化するジェットコースター」に乗せている、みたいに書くのが好きなんです。途中の怒涛の展開にみんながついてくるの…

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世界観、難解さ、過去と未来の融合……すべてが「神話」のようなAIエンタメだ!『エクサスケールの少女』【書評】

世界観、難解さ、過去と未来の融合……すべてが「神話」のようなAIエンタメだ!『エクサスケールの少女』【書評】

この物語はまさしく一つの神話のようだ! というのが読み終わった後の素直な感想でした。もしかしたら、この作品を読む読者の皆さんは、僕がそうであったように、膨大な知識量についていけず、やや消化不良に思うところがあるかもしれません。

国内外問わず、神話というものが大抵そうであるように、この物語も、「もっとそこ盛り上げて書いてよ!」と思うところが驚くほどあっさり流されていたりします。

そうやって特に前半、現代のエンタメの風潮である過剰なまでの分かりやすさが確信的に避けられ、神話的な語り口で様々な伏線が張られていきますが、後半は溜めたバネがいかんなく弾けるように一気に加速します。

読み終えてみれば、エンターテインメント的なカタルシスのある読後感に包まれ、著者・さかき漣さんの多岐に渡る知識や興味から作り出された世界観にもっと浸っていたかったと思うでしょう。

全編を通して、人工知能、万葉集、出雲神話、鉱石、大震災、果ては人種差別まで、様々なアプローチで物語の世界が紡がれていき、それに惹き込まれていくのです。

特に「古事記」といった日本の神話を絡めて、人工知能的な現代の物…

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エクサスケールの少女に出会う日を心待ちに、今を生きる 【書評】

エクサスケールの少女に出会う日を心待ちに、今を生きる 【書評】

『エクサスケールの少女』(さかき漣/徳間書店) 人工知能(以下AI)の登場は我々に何をもたらすだろうか。幸福か、不幸か、あるいは一瞬にしてその姿を消していくだろうか。この問いへの答えは、疑うことなく、我々人間の判断にかかっている。ここ数年でAIに関するニュースが急激に増えた。世界中の大学、企業などの研究施設で、AIの性能を高めようと日々切磋琢磨されてこられたのだろう。その成果が私の日常レベルにおいても徐々に見えるようになってきた。AI自身が自発的にこの世に生まれ、機能を向上させ、自律的に増殖していくことはないだろう。AIは人間の手によって生み出され、社会に還元され、改良を重ねられていく。新しい世界が見たいとか、あの人の喜ぶ顔が見たいとか、お金を儲けたいとか、様々な人間の強い欲望と情熱、才能の総和が技術を向上させていく。

『エクサスケールの少女』の主人公・青磁は、愛する妹の難病を治すために、AI開発の道に進み、その秀才を活かして次々と画期的な発明を繰り広げていく。人間、さらには自然の猛威との闘いを経て、物語はドラマティックに終盤まで駆け抜ける。序…

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“シンギュラリティ”への丁寧な、そして終着点までのガイドブック 『エクサスケールの少女』【書評】

“シンギュラリティ”への丁寧な、そして終着点までのガイドブック 『エクサスケールの少女』【書評】

 Precisely because we cannot resolve issues of consciousness entirely through objective measurement and analysis (science), a critical role exists for philosophy. (客観的な測定・分析――即ち科学――のみでは意識の問題を解明できないからこそ、決定的な役割が哲学に求められる) Ray Kurzweil (The Singularity is Near) 本書『エクサスケールの少女』を開いてまず驚かされるのは、その圧倒的な情報量である。コネクトーム、マスター・アルゴリズム、アロポイエティック・マシン……。読者は優秀でありながらも歪んだ影を持つ魅力的な主人公、苅安青磁のシンギュラリティを目指す苦闘に引き込まれながら、いつの間にかこの情報の洪水を易々と受け入れてしまっていることに気づく。

その理由は、本書の本当の特長、つまりその圧倒的な情報をできるだけ分かりやすく読者に伝えようとする筆者の誠意にあ…

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AIを基軸に、古代史、色、鉱物たちが織り成す珠玉のエンタテインメント『エクサスケールの少女』【書評】

AIを基軸に、古代史、色、鉱物たちが織り成す珠玉のエンタテインメント『エクサスケールの少女』【書評】

物語の基軸をなす「シンギュラリティ」とは、機械の知的能力が人間のそれを越え、また機械がさらに優れた機械を生み出すことにより、技術が進歩する速度が不連続に増大する瞬間である。シンギュラリティによって、人間は辛い労働から解放されたり機械と融合して能力を高めたりするという立場と、人間は存在価値をなくし尊厳を失いさらには生物種として絶滅するかも知れないという立場がある。

著者はディストピアを書くのが好きなのだそうだが、この作品は意図的に楽観論を採り前者の立場で書かれている。前半で仕掛けられたいろいろな謎が、物語の展開が加速する後半で次々に解かれ、シンギュラリティの到来を経てハッピーエンドを迎える。半日で一気に読み切った。AIの技術を語りながらエンタテインメントとして十分に成立している。著者が本気でこんな楽観論に与しているかどうかは不明だが、僕自身の立場はまさに本作品で語られているような楽観論に近く、それが読書を楽しめた大きな要因のひとつかも知れない。シンギュラリティに関連してしばしば言及される「価値システム」は「意味体系」と言い換えても良い重要なコンセプト…

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人工知能が突きつける課題に、人類はどう答えるのか?『エクサスケールの少女』【書評】

人工知能が突きつける課題に、人類はどう答えるのか?『エクサスケールの少女』【書評】

古代と未来、この両極の間で読者はハレーションを起こすだろう。人工知能やスーパーコンピュータ、そしてその先に予言される「シンギュラリティ」という未来的なテーマだけでも、十分すぎるほどに壮大である。しかし本書では、そうした装いはひとつの装置にすぎない。この物語が鼓動するそのリズムは、何時ぞやの未来からやってきたようなよそよそしいものではないのだ。むしろ、神話の誕生と共に始まり私たちの中に今も流れている、古代の猛々しい叫び声と響き合う。

この二項の対立は、単に時間的な先後関係ということを意味しない。それは物語中で、あるときは神々や人工知能といった「不死の存在」と「死すべき存在」としての人間の闘争として、あるときは「科学」と「自然」の対立という哲学的な問題として姿を現す。主人公の人工知能研究者の青磁、老いることのない妹の萌黄、そして最愛の恋人千歳たちもまた、この2つの間で引き裂かれた存在だ。彼らは強烈な内面の葛藤を抱えながら、そしてAIに対する社会の欲望と畏怖に囲まれながら、矛盾を突破する方途を模索してゆく。

この物語は、特殊な境遇にある彼らだけのものだろう…

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「私、女性をエロく描くのが得意なんです(笑)」専門家が絶賛する小説『エクサスケールの少女』対談【『ダ・ヴィンチ』番外ロングインタビュー】

「私、女性をエロく描くのが得意なんです(笑)」専門家が絶賛する小説『エクサスケールの少女』対談【『ダ・ヴィンチ』番外ロングインタビュー】

(左)井上智洋さん、(右)さかき漣さん

『ダ・ヴィンチ』2017年1月号掲載の『エクサスケールの少女』の著者・さかき漣さんと、経済学者・井上智洋さんの対談を、本誌には収録しきれなかったエピソードを追加して、ロングバージョンでお届けします。

人工知能(AI)の最前線を舞台に、一人の天才青年のスケールの大きな成長を描いた『エクサスケールの少女』。綿密な取材を重ねて世界を作り上げた著者・さかき漣さんと、「人工知能と経済」をテーマにした著書がある経済学者・井上智洋さんが人類の未来について語り合った。 「これはすごい小説だ」 専門家をうならせた、さかき流SF

『エクサスケールの少女』(さかき漣/徳間書店)井上 『エクサスケールの少女』とてもおもしろかったです。非常によく調べていらして、これだけ勉強していたら、普通は人工知能の話ばかり書きたくなってしまうと思うんですよね。それが、万葉集の和歌、出雲の神話、鉱石のうんちく、人種差別問題などの中に、人工知能の話も一つの要素としてうまく織り交ぜられている。さらに、主人公の青磁(せいじ)の恋愛や、個人的な悩み、成長も見事…

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「さかき漣」の本・小説

エクサスケールの少女 (文芸書)

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作家
さかき漣
出版社
徳間書店
発売日
2016-11-26
ISBN
9784198649135
作品情報を見る
コレキヨの恋文 (PHP文庫)

コレキヨの恋文 (PHP文庫)

作家
さかき漣
三橋貴明
三橋貴明(企画・監修)
出版社
PHP研究所
発売日
2015-02-04
ISBN
9784569762883
作品情報を見る
顔のない独裁者  「自由革命」「新自由主義」との戦い

顔のない独裁者 「自由革命」「新自由主義」との戦い

作家
さかき漣
三橋貴明(企画・監修)
出版社
PHP研究所
発売日
2013-11-13
ISBN
9784569807485
作品情報を見る
希臘から来たソフィア

希臘から来たソフィア

作家
さかき漣
三橋貴明
鈴木康士
出版社
株式会社自由社
発売日
2013-03-02
ISBN
9784915237744
作品情報を見る
真冬の向日葵 ―新米記者が見つめたメディアと人間の罪―

真冬の向日葵 ―新米記者が見つめたメディアと人間の罪―

作家
三橋貴明
さかき漣
鈴木康士
出版社
海竜社
発売日
2012-09-11
ISBN
9784759312621
作品情報を見る
コレキヨの恋文

コレキヨの恋文

作家
三橋貴明
さかき漣
出版社
小学館
発売日
2012-03-28
ISBN
9784093863261
作品情報を見る

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