「小説家は新人賞を獲れば食える」ってホント? 売れない苦悩を赤裸々に綴った『エンタメ小説家の失敗学』
『エンタメ小説家の失敗学~「売れなければ終わり」の修羅の道』(平山瑞穂/光文社)
小説家という職業に憧れを抱いている人は多いことだろう。中には「新人賞さえ獲れればどうにかなる」と執筆活動に励んでいる人もいるかもしれないが、たとえ、賞を受賞できたとて、現実はそう甘くはない。その先に待ち受けているのは、修羅の道。執筆した書籍の売り上げが振るわなければ、瞬く間に出版社や編集者から見向きもされなくなってしまう。
『エンタメ小説家の失敗学~「売れなければ終わり」の修羅の道』(平山瑞穂/光文社)では、そんな小説家になった以降の苦悩の日々が綴られている。著者の平山瑞穂さんは2004年に『ラス・マンチャス通信』で第16回日本ファンタジーノベル大賞を受賞、その後、18年強にわたって、評論も含めて29もの作品を発表してきた小説家だ。映画化された作品もあれば、10万部超えのヒットとなった作品もある。そんな事実だけを知れば、順調な作家人生を歩んできたように思えるが、当人曰く、その道のりは「悪戦苦闘の連続」。平山さんは小説家を目指す人たちが「同じ轍を踏まないように」と、数…