小日向でお茶を
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「小日向でお茶を」のおすすめレビュー
直木賞作家のエッセイが、疲れすぎてヘトヘトな日常にうるおいをくれる件
『小日向でお茶を』(中島京子/主婦の友社)
疲れすぎて、何を食べていいのかもわからなくなってしまったとき。あるいは、理不尽な現実に打ちのめされて、何もかもいやになってしまったとき。もし少しでも文字を追う余力があるのならば、『小さいおうち』で直木賞を受賞した、作家・中島京子さんの初エッセイ『小日向でお茶を』(主婦の友社)を読むことをおすすめしたい。
小日向、というのは東京都文京区にある地区のことで、地下鉄の茗荷谷が最寄り駅。本書に収録されている過去5年のエッセイは、中島さん自身が住んでいたその地で書いたから、というのがタイトルの由来だそうだが、読んでいるとお茶を飲みながらひなたぼっこしているように、心がぽかぽかしてくる。
読んでいてよくわかるのは、中島さんがとても食べるのがお好きな方ということだ。2018年10月からの半年をおさめた第1章「世界中、どこへ行ってもおなかはすくのだ」には、プライベートあるいは仕事で世界各国を旅した中島さんが、現地でどんな料理を食べたのかが綴られていて、しょっぱなの「バルセロナのお豆腐屋さん」エピソードからして、食欲…
2023/3/23
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小日向でお茶を / 感想・レビュー
旅するランナー
雑誌「ゆうゆう」に連載中のエッセイ集(2018年10月~2022年9月)。作者が文京区小日向に2010年から2022年まで住んでいた思い出としてだけのタイトルらしい。本文には全く出てきません。ちょうどコロナ前後にあたるので、前半は旅する小説家的に、海外含めた旅先ネタが多く、後半はコロナによる行動制限絡みネタになっていきます。台湾好き、新大阪駅でのルーティン、ピラティスはまりなど、共感できる話題が豊富です。ちなみにオススメ台湾文学は呉明益著「歩道橋の魔術師」とのことです。
2023/07/08
starbro
中島 京子は、新作中心に読んでいる作家です。 著者のエッセイは初読ですが、ほぼ同い年なので、色々と共感出来ます。頁の合間のイラストもGOODでした。 https://books.shufunotomo.co.jp/book/b10030095.html
2023/06/15
いたろう
雑誌「ゆうゆう」連載からの、中島京子さんの初エッセイ集。2018年から2022年まで。最初のうちは、旅先の話などが多く書かれていたが、だんだんコロナ禍の閉塞的な生活の話が多くなっていくのは、仕方がないことか。それでも、食べ物の話、50代後半になっての身体の衰えの話なども通じて、中島さんの人となりが見えて来るのがいい。貫一とお宮が最終的にどうなるのかが気になって、「金色夜叉」前編・中編・後編、「続金色夜叉」、「続続金色夜叉」、「新続金色夜叉」と読み進んだ末に、作者逝去で未完と知った驚き!という箇所に大笑い。
2023/06/04
Ikutan
中島京子さんのエッセイは初めて。前半はbeforeコロナなので、海外での旅のお話が中心ですが、後半はコロナ禍の日々の暮らしのあれこれと身近な話題がメイン。で中島さん、かなり食いしん坊なんですね。全体的には食にまつわる話題が多くて、これは、お腹のすいちゃうエッセイですね。『亡命ロシア料理』という本の「帰れ、鶏肉へ!」は美味しそうなので、作ってみようと思ったよ。やっぱり、同世代なので健康にかんする内容は共感できるところ多し。『MONOPOLY』懐かしい~。一時、はまっていたけれど、確かに変なゲームだったなぁ。
2023/05/31
pohcho
日本を含む世界各地への旅行、食べもの、教養と文化、体への向き合い方など、内容が興味のあることばかりでとてもとても楽しく読んだ。後半はコロナ禍になるが、日本と中国の間でマスクを贈る際に漢詩や俳句が書かれていたという話は全然知らなかった。素敵。手縫いのマスクの話も今ではちょっと懐かしい。それから自分よりも少し年上の中島さんが、体のメンテナンスをいろいろとされているのも興味津々。私も早速放置していたフォームローラーを出してみた。おいしいものもいっぱいで、プゴクスープ、亡命ロシア料理は是非自分で作りたいと思う。
2023/04/25
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