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ツタよ、ツタ (小学館文庫 お 27-7)

ツタよ、ツタ (小学館文庫 お 27-7)

ツタよ、ツタ (小学館文庫 お 27-7)

作家
大島真寿美
出版社
小学館
発売日
2019-12-06
ISBN
9784094067255
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ツタよ、ツタ (小学館文庫 お 27-7) / 感想・レビュー

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キムチ27

NHKの紹介が無かったら、手にすることなかったであろう1冊・・彼女のような足跡を辿ったであろう女性が大勢いたであろうことを感じた読後。明治末期は近代史、女性の歩みは親、男、子の陰にあって然るもの、心の裡に有る呟きすら仇や疎かに言えない時代。沖縄に生まれ育った聡明な彼女自らの解放を言の葉に乗せたことが人生を大きく変えた。私が「ツタ」なら、今の時代なら泣き喚き訴える術を選ぶのだろうが筆者は恐ろしいまでに淡々と水彩画の様に綴る。読み始め、韻律を踏まぬ和歌?と感じ違和感も受けたがこういう表現法もあるのだろう

2020/08/28

朗読者

大島さんの偉人掘り起こしシリーズ(私の勝手な命名)の3作目。本屋大賞3位のピエタではヴィヴァルディの教え子で天才ヴァイオリニストのエミーリアを、直木賞の渦では浄瑠璃作家の近松半二と歌舞伎作家の並木正三を見事に掘り起こした大島さん。今回は戦前に突如現れて、突如消えていった幻の女性作家久志芙沙子(本名久志ツル)さんの生涯を現代に復活させ、読者に届けてくれました。小説なので脚色はあるにしても、戦前にこのような女性が、しかも沖縄から現れたというのは驚きでした。とても面白く読ませていただきました。次も楽しみです♪

2022/10/21

びっぐすとん

110円本。実在の女性をモデルにした作品。主人公は色々考えてはいるのだが熟孝は出来ず、行き当たりばったりな行動で翻弄された人生を歩む。本人は自己表現のつもりで書き、世論に訴えるつもりではなかった作品が騒動を招き、生涯ただ一つの作品となる。子を失い、故郷を失い、過去や自分の本当の名前さえ失った女性ではあるけれど、今一つ共感はしにくい。今なら自己表現の方法はいくらでもある。彼女ももっと楽な生き方が出来ただろう。彼女に沖縄初の女流作家と肩書きをつけるのはむしろ酷だ。沖縄とは切り離されてしまったのだから。

2022/01/09

チェアー

テレビ番組から知った本。 ツタは文章の力と怖さを知った女性だった。筆を折ってからも、自分のなかではずっと言葉を紡いできた人だったのだろう。それを外に出さないこともまた、彼女の表現の一つだったのだ。辛く、また強いことだった。

2020/09/14

すみっちょ

女性作家の一代記と言ってしまえばそれまでですが、沖縄の現状などを思うと色々考えさせられるところはありました。ツタの波乱の一生を時代のせいにして片付けてしまうこともできますが、もし現代だったら違う生き方があり、もう少し作品も残せたのかなと思います。ただ、ツタが書きたいことは今の時代には特にないのかもしれませんが。生き別れた息子が会いに来てくれて、今の夫との子どももツタの味方で、夫に名前を呼ばれながら最期を迎えられたツタ。ずっと頑張って生きてきたんだろうなと思いました。

2022/01/31

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