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正欲 (新潮文庫 あ 78-3)

正欲 (新潮文庫 あ 78-3)

正欲 (新潮文庫 あ 78-3)

作家
朝井リョウ
出版社
新潮社
発売日
2023-05-29
ISBN
9784101269337
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正欲 (新潮文庫 あ 78-3) / 感想・レビュー

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Kanonlicht

昨今、多様性が大切と言われるようになり、いわゆるマイノリティとされる人たちへの理解と権利拡充が社会課題にもなっているけれど、この先どれだけ理解が進んだとしても、当事者の本当の気持ちをそうでない人たちが知ることは難しいんだろうな(だからといって理解しようとする努力が無駄だとは思わないけど)。こんな人間の根幹にある問題をいろんな立場の人の視点をより合わせて小説にしてしまう著者はすごい。願わくば、肩身の狭い思いを抱える人たちが心から信頼し合える同士とつながりあえますように。

2023/08/06

みこ

正欲。人として正しい性欲とは何なのか。主に三人の複数の視点で物語は進む。それぞれ別々の世界の住人と思われた三人がやがて交わるようになり、我々の価値観も揺るがされる。どんな感想を書いても自分にブーメランが帰ってくるような「何者」と同じくらい意地の悪い小説である。個人の価値観を周りに押し付けることは以ての外だが、理解を押し付けることも人を傷つけかねないことの思いを寄せなければならない。ATフィールドは今も昔も存在する。

2023/07/13

ベイマックス

◎図書館だとすごい予約数だったので、文庫買い。◎癒されることはある。滝とか水のせせらぎとか。でも、性欲につながる感情もあるのか。アブノーマル、でも何でも、感情も思いも自由。でも、実行してはいけない思考もあるしね。◎すごい物語でした。

2023/06/17

Apple

多様性を謳う社会の、非常に脆いポイントをついたような小説だと思いました。結局、正しいもの(マジョリティ)•新たに認めるもの•それでも認められないもの、という3つの構造になってやしないか?と考えさせられました。ある倒錯を抱えた登場人物たちが感じているように、なんらかの繋がりができるというのがまず大事なのかなと思いました。物語は後味の悪いかたちで終わってしまったわけですが、寺井啓喜や八重子といた正しい側の面々も、なにか考えるきっかけを得たのではないかと思われるようなわずかな希望のある終わりだと感じました。

2023/11/18

tamami

今にして『正欲』という題名は、言い得て妙だと思う。本作をかなり読み進めるまで、それがよく理解できないくらい、自分の「正癖」などもあまり意識せずにきた。だが今は、作者の設定する人物造形が全く荒唐無稽とばかりは言えない、と思うようになった。ただ現実には本作にあるような事件が頻発する社会は考えにくい。何故全て?そこそこに収まっているのか。それは個々人が持つ引き出しの多さが、支えているのではないか。幅というかズレというか。あっちもやればこっちもやるというように。楽しい小説空間を演出する作者の取材力と表現力に脱帽。

2023/08/06

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