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ばにらさま (文春文庫 や 35-4)

ばにらさま (文春文庫 や 35-4)

ばにらさま (文春文庫 や 35-4)

作家
山本文緒
出版社
文藝春秋
発売日
2023-10-11
ISBN
9784167921101
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ばにらさま (文春文庫 や 35-4) / 感想・レビュー

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Kircheis

★★★★☆ 山本文緒さんの遺作。6篇の短編が収められており、いずれもありふれた人の営みが少しの毒を含んで描かれる。若干の叙述トリックもあって結末が読めない作品が多い。過去が繰り返される系の話が複数あったのも興味深い。そして、人の死とその影響を描いた後半の2作品は、死期を悟っていたであろう著者の想いが感じられて色々と考えさせられる。 叙述トリックが光る『わたしは大丈夫』と『菓子苑』も良かったが、『子供おばさん』の主人公の達観したかのような生き方が1番心に刺さった。

2024/02/13

mae.dat

表題作から始まる6話短篇集。どの話もちょっとテクい事をしている様な気がする。全部が同じパターンである訳も無いのですけど、概ねちょっと特異な境遇、性格、価値観を持った感じの女性を客観視する。そんなストーリーでね。彼女らはそれぞれ何かしらの問題を含んでいる様なんだ。でもそれが解決されないまま物語は幕を閉じるの。それで最初は「ん? で何⁇」ってなるけど、じわじわと余韻が長いねぇ。大体が悪い目の後味ね。不思議ちゃんを見守る側の語り手もね、いちもつ抱えると言うか、誤解を恐れずに言えば病んでいる感じなんだよねぇ。

2024/04/24

ケンイチミズバ

呟きはバレてしまってる。SNSでの彼女は、ばにらさま。クリスマスイブの予約がちゃんこ鍋には私もどうかと思ったがそれは彼の素朴な優しさ、彼女がいつも寒そうにしていて、あまり食べないから。元気になって欲しかった。もっと上のランクの男といい関係になれなかった時のキープとしての彼を貶すツブヤキや腹黒さが悲しい。冒頭のこの作品がなかなか心に残る。私も弱い立場の女性を気の毒に思うことがある。正社員と派遣社員では東京での生活レベルの差はいかんともし難い。そして彼女たちはみな一様に同じに見えてしまう。金太郎あめ。古いな。

2023/11/20

かぷち

6篇の短編集でどれも大人の女の話。自己中心的でわがままで、なんとかなるさって選択が浅はかで、嫌な面ばかり描いているが不思議と憎めない。見方を変えれば、不器用なだけなのが分かるから。剥き出しの自分を恐れ、取り繕う他にやり方を知らないのだ。子どもの頃は遠い存在だった大人も、いざ自分がなってみれば「こんなもんか」って感じる。幼さは永遠。飾ってない素の姿を作家さん自身がさらけ出していて、文字通り魂を削って作品を生み出しているのが痛い程伝わってくる。

2023/11/26

ぼっちゃん

6つの短編集。祖母とポーランド人との恋を描いた『パヨリン心中』、亡くなった友人のエンディングノートの記載されていた犬を引き取ることになる『子供おばさん』が印象に残った。これが山本文緒さんの最後の作品集になるのですね、『プラナリア』『アカペラ』『恋愛中毒』『自転しながら公転する』など好きだったので残念でしかたありません。

2023/11/13

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