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龍潭譚/白鬼女物語: 鏡花怪異小品集 (948) (平凡社ライブラリー 948)

龍潭譚/白鬼女物語: 鏡花怪異小品集 (948) (平凡社ライブラリー 948)

龍潭譚/白鬼女物語: 鏡花怪異小品集 (948) (平凡社ライブラリー 948)

作家
泉鏡花
東雅夫
出版社
平凡社
発売日
2023-08-28
ISBN
9784582769487
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龍潭譚/白鬼女物語: 鏡花怪異小品集 (948) (平凡社ライブラリー 948) / 感想・レビュー

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HANA

冒頭「龍潭譚」を読み始めるやいなや溜息しか出ない。日本語にこれほど磨きを掛ける事が出来る著者の文章の魔力に魅了させられるからである。一種の子供の異界遍歴がその魔力によって、こちらも文字の世界へと迷い込まされる様。何度も読んだ作品だが、読む度に文章に酔わされる。あと本書の裏テーマは鏡花と女性だと思う。一種の神経症的な名品「酸漿」は言うに及ばず、ラストの怪異への助走的な当時の風俗に魅せられる「露肆」、著者独特の女性の心意気を感じさせる「鷭狩」まで、どれも妹の力を感じさせられるものばかりで非常に満足しました。

2023/11/04

藤月はな(灯れ松明の火)

「龍潭譚」は取り替え子が神隠しに合った語りの坊やよりもその姉というのが捻っている。「露肆」の風俗描写に引き込まれたが、ラストに一気に脈拍が跳ね上がった。その映像的なラストに川端康成の「片腕」の透徹とした幻想味よりも江戸川乱歩の「指」のようなおどろおどろしい蠱惑性を感じ、それに撃たれたからだ。「やどり木」の怪奇性は怪談に相応しい。「千鳥川」で心中し、果てた女人を悪く言う周囲に毒づくのは芸妓であった妻を娶る際に周囲からやいのやいの言われた鏡花氏なりの嫌味混じりの本音だったのだろうか。

2023/11/02

えも

鏡花の小品から、隠れ里と「姉」的な女性の庇護を描いた「龍潭譚の系譜」、女怪か登場する幻想と怪奇の「女怪幻妖譜」、ふるさとを訪ね行く「故郷追懐」の3テーマのもとに選び出した小品集。これぞ鏡花といった風情に痺れます▼言文一致じゃないから読むのに1週間かかったけどね。

2023/10/23

Fumoh

非常に優れた名品に出会えて満足です。鏡花らしい怪異譚。その日本語の美しいこと、いつまでも本棚に置いておきたいくらいの宝物です。ストーリーはホラーというより、怪異伝説を文学に磨き上げた、といった方が適切で、味わいもまた文学。美しく、恐ろしく、どこか悲しい……幼き頃に見た、あの異変の影はなんだったっけ……そんな懐かしい思いに浸れるような、胸の打たれる物語です。いくつかの短編で同系統の怪異を扱っており、連作ものとして楽しむことができますが、一つのまとまった作品が良いなら、メジャーな作品を読まれた方がいいでしょう

2023/12/07

迦陵頻之急

鏡花の選集や短編集は何冊も手持ちだが、目次を見ると未読の作品が随分と収録されているので購入。まあ未完の未発表作やら著名作の習作めいたものやら、落穂拾いといった感もあるが、それでも鏡花エッセンスはどの作にも充満しているし、ちょっと珍しい作品にも巡り合えて満足でした。

2023/10/13

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