主婦探偵があるんだから、絵画修復士探偵があってもいいじゃないか!
美術品といえば、強盗がつきものです。 ―ですが、意外にも美術品(特に絵画)が大っぴらに登場するミステリーは少ない気がします。 ミステリーというよりは犯罪小説になってしまうからでしょうか。確かに、絵が人殺しする訳はないんですが、絵画芸術とミステリーを愛好する者にとっては実に寂しいところであります…。
しかし!
日本全国にお住まいの絵画とミステリーを愛する皆様、おまたせ致しました。 これがお探しの品でございます。
本作は絵画修復士・御倉瞬介を主人公とした小説であります。一介の絵画修復士…と言うと、賢明なる読者の皆様はそこへ明智の様な探偵狂が現れるのだな、とお考えになるやもしれませんが、ハズレです。 なんと、一介の絵画修復士であるところの彼が、数々の怪事件に対して、類まれなる名探偵ぶりを発揮する作品なのであります。 「何故絵画修復士が探偵?しかも、絵画関係ないじゃん!」 と思いがちですが、ご安心ください。絵画修復士であるが故の眼でもって、実にステキな閃きを見せてくれるのです。 謎めいた殺人事件や不審な事故など、幸か不幸か、何故か様々な難事件に巻き込まれてしま…