発達障害の子供の育て方に悩んだら… 実体験だからこそ伝わる発達障害マンガまとめ

マンガ

更新日:2019/8/23

 近年、注目を集めるようになった「発達障害」。とは言うものの、名前は聞いたことがあっても、実際はどんなものかピンとこないという方も多いことでしょう。そこで、本稿では、発達障害をわかりやすく描いたマンガを紹介したいと思います。

■生きづらい世界でも、親子で前向きに生きていく

 育てにくく、他の子供と比べて発達が遅いように感じる長男を育てていくうちに、長男だけでなく、自分自身も発達障害であることがわかり、自分や子供と向き合い前へと進んでいく様子を描いた『生きづらいと思ったら 親子で発達障害でした』(モンズースー/KADOKAWA・メディアファクトリー)。

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 決して暗くならずに、淡々と描かれています。同じ発達障害であっても、母親はADHD、息子はASDと異なった分類なのですが、著者が発達障害であることを理解しているからこそ気づいたことや、どのように息子に接すればいいのかということをわかりやすく表現してくれています。自分の子供が発達障害かも? と不安に感じたらまずはこちらを読んでみることをオススメします。

■あなたも大人の発達障害かもしれない?

 近年注目されている、大人の発達障害。子供の方が話題になることが多い発達障害ですが、実は大人にも発達障害の人は多く存在しています。なんとなく日常生活がうまくいかない、社会に馴染めない、という思いを持って生きてきた人は発達障害なのかもしれません。そんな思いを持った著者が、実際にそれを確認するために行動を起こした作品が『おとなの発達障害かもしれない!?』(森島明子/イースト・プレス)。

 発達障害の検査とはどのようなものなのか? 薬は飲むのか? そして自分が発達障害だと明らかになったあと、どのように向き合っていくのかということを詳細に描いてくれています。自分も発達障害かも? と悩んでいるならば読んで損はありません。

■ADHDの子供と一緒に生きる日々

 発達障害のひとつである「ADHD(注意欠陥多動性障害)」のある息子と、著者である母親の日常生活を描いた『漫画家ママの うちの子はADHD』(かなしろにゃんこ。:著、田中康雄:監修/講談社)。

 ADHDの子供がいる親は、自分の育て方が悪かったのかと悩むことが多くあります。なぜ、他の子と違ってしまったのか、ひたすら悩んで自分を責める人も多いのですが、本書では、息子がADHDであると診断されたことで、どのように接すれば良いのかを知り、自分を責めることなく息子と共に成長する過程が、可愛らしい絵柄で描かれています。子供が発達障害だからといって、それは悲観的になるのではなく、それを知ることによって、より良い未来が開けるということを教えてくれる作品といえるでしょう。

■発達障害をポジティブに捉えるための説明書

『うちの火星人 5人全員発達障がいの家族を守るための“取扱説明書”』(平岡禎之/光文社)はタイトルからもわかるように、漫画とエッセイが混じり合った作品です。4コマ漫画でエピソードを紹介しながら、エッセイで細かく解説しています。妻、長女、長男、次女、次男という、それぞれ少しずつ異なった発達障害のある登場人物の特性にあわせて、動物のキャラクターを採用するなど、発達障害をその人の「特別な個性」として捉えることで、一家は楽しく明るく過ごせるようになったといいます。そんな明るく楽しい、発達障害の取扱説明書を読んでみませんか?

■発達障害者の日常はハプニングが一杯

 発達障害があることで生きづらさを感じている人は多くいますが、その日常で起きたハプニングを、「笑い」という形で昇華した作品が『毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で』(沖田×華/ぶんか社)。

 著者はアスペルガー症候群をはじめとして、いくつかの発達障害があり、それによって一般的な社会生活を送る上で多くの困難に直面します。しかしながら、それにたいして諦めてしまうのではなく、タイトルのように「やらかしてしまった」という形で、笑えるエピソードとして紹介することで、発達障害の実体というものをわかりやすく伝えてくれています。発達障害というと重い話になりがちですが、あくまでも笑いに重点を置いていますので、暗い話が苦手な人にオススメです。

■パートナーの目からみた発達障害

 さまざまな発達障害に関する漫画が存在していますが、当事者が描いたものか、発達障害のある子供の親が描いたものが多い中、『ボクの彼女は発達障害』(くらげ:著、寺島ヒロ:漫画、梅永雄二:監修/学研プラス)は、発達障害のある彼女を彼氏の目線から描く、という珍しい作品です。

 聴覚障害のある著者は、障害についての理解が深く、だからこそ彼女の行動を受け止め、お互いにサポートしながらトラブルを乗り越えていくという内容となっています。家族ではなく、パートナーという立場だからこそわかる、コミュニケーションの方法や、生活していく上でのポイントが描かれていますので、身近に発達障害の方がいる人にはぜひ読んで欲しい作品です。

 日本は発達障害大国であり、10人に1人が発達障害だともいわれています。障害といっても、発達障害の場合、良い方向に出れば大成功をすることも多くあるために、単に治すのではなく、自分の特性として理解することが重要といえるでしょう。本稿で紹介した漫画を読んでおくと、より理解が深まり、自分や身近に発達障害の人がいたとしても、スムーズに対応できるようになることでしょう。

文=龍音堂