スキマワラシ (集英社文庫)
ジャンル
「スキマワラシ (集英社文庫)」のおすすめレビュー
恩田陸の人気作が文庫化!廃ビルに現れる都市伝説の“少女”…モノに秘められた記憶がみえる弟とその兄のファンタスティックミステリー
『スキマワラシ』(恩田陸/集英社文庫)
古い建物には記憶が宿る。そこで生き、生活してきた人たちの感情が蓄積されている。もし、それを感じ取ることができたとしたら…? 『スキマワラシ』(恩田陸/集英社文庫)は、そんな特殊な力を持つ弟が、その兄とともに、不思議な少女と出くわす物語。再開発予定の地方都市を舞台としたこの作品には、ノスタルジックな空気が充満している。不思議さ満点。最近文庫化されたばかり、これからますます話題を呼ぶに違いないファンタスティックミステリーだ。
主人公は、古道具店を営む兄の仕事を手伝うかたわら、その店の一角でバーを開いている弟・散太。モノに触れるとそこに秘められた記憶を感じ取ってしまう力がある彼は、ある日、天板にタイルの入ったテーブルに触れた時、亡き両親にまつわる強い思念を感じ取った。何でもそのタイルは、古い建物を解体した時に、内装に使われていたタイルを再利用して作ったものらしい。そのタイルは他の場所でも使われているのではないか。それ以来、散太は、兄とともにそのタイルを探しては、両親の面影を追い求めるようになる。
同じ頃、兄弟は、…
2023/3/17
全文を読むおすすめレビューをもっと見る
スキマワラシ (集英社文庫) / 感想・レビュー
ピース
なんかフワフワした話だった。散多には不思議な能力のようなものがあるが、それが何なのか分からない。分からないながらも醍醐覇南子との出会いによって大きく展開した。それでもスキマワラシと覇南子との関係とか分からないままのこともあった。分からないことを分からないままにしておくのはいかにも恩田陸らしい。
2023/08/06
yamatoshiuruhashi
8年ぶりの恩田陸。「ドミノin上海」をポチろうと思ったら本書も出てきて題名に惹かれて同時に購入。ああ、この作家は面白い発想をする反面、時にこんなに読みにくい妙な文章を書く人だったと思い出した。カバー裏の著者の他の作品に「ねじの回転」を見出して妙に納得。設定も斬新だし、座敷童ならぬスキマワラシを描くファンタジィはそれなりに面白い。が、読みにくくノリが悪くて1週間かかってしまった。両親を早くに亡くした兄弟。異常な記憶能力を持つ兄と、特定のモノが持つらしい記憶を観る弟。で、結局何でそうだったの?と不可解なまま。
2023/04/05
naoっぴ
物に触れるとその物の記憶がみえる不思議な能力を持つ散多は、とある古いタイルから強烈なイメージを得たことで古道具屋の兄・太郎とともにそのタイルの謎を追う。建物の解体現場に現れる白い服の女の子、亡き両親のこと、女の子が呼びかける「ハナコ」とは誰か。不思議がいっぱいの世界観がとても好み。スキマワラシの謎が知りたくて読んでいたけど、大勢のスキマワラシが扉を駆け抜けるラストのビジョンが強烈で鮮やかで、どうでもよくなった。ちょっぴりゾッとするところもあったりと、最後までわくわくできて楽しかったです。
2023/05/07
カブ
古道具屋店を営む兄弟太郎と散多のひと夏の不思議な冒険を描くファンタジー。よかった。両親を早くに亡くし、二人で生きてきたんだってことが、両親を渇望し見せた幻のような物語。幼い二人を残して逝った両親の想いも伝わる。
2023/09/26
piro
古道具屋を営む太郎、散多兄弟。散多の不思議な能力が見せてくれるもの、そしてスキマワラシの謎がどんどん深くなっていく印象を持ちつつ物語は進んでいきます。どうやら彼らの両親が関係しているらしい、ある建物が謎を解く鍵らしい、でもなかなか答えには辿り着けないもどかしさ。でもそんな謎だらけのお話ながら、どこか懐かしく、心地良い風を感じるのは不思議です。多分一昔前の人と人の優しい繋がりが感じられるからだろうな。時代が変わっても、人々のスキマを埋める何かが残っている世の中であって欲しいものです。
2023/10/10
感想・レビューをもっと見る