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死にがいを求めて生きているの (中公文庫 あ 92-2)

死にがいを求めて生きているの (中公文庫 あ 92-2)

死にがいを求めて生きているの (中公文庫 あ 92-2)

作家
朝井リョウ
出版社
中央公論新社
発売日
2022-10-21
ISBN
9784122072671
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死にがいを求めて生きているの (中公文庫 あ 92-2) / 感想・レビュー

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ろくせい@やまもとかねよし

生きがいって何?と問いかける。個性の大切さを謳う社会。では、自己中心的で承認欲求を満たす利己的生きがいが正しさだよねとユウスケ、ヨシキ、メグミ。否、それは間違いだと迫る社会という大人たち。個と個は必ず繋がっているからだと。だから、一過的でも空虚でも本心でなくても利他を生きがいに盛り込んでいると彼らは訴える。しかしそれらもやはり否。終着がないこの二元論。そもそも「人生に意味を求めるべき?」「命の価値を考えるべき?」、それより「あなたは生きてるだけいい」との利他こそが、自己それぞれの根拠だと問いかけていたか。

2023/03/09

納間田 圭

人間の戦争ばかりの歴史の根源は…眼の青いウミゾクと耳が大きいヤマゾクの習性。そんなこんながテーマの一冊。1980年代の教育方針“ゆとり”。そんな平成の時代に育った若者達の思い。病院のベッド上の彼。ただ死んではいないというだけの…植物状態。しかし実は…聴力だけは大丈夫だった。欠かさず入院中の同級生の病院に…見舞いに行く彼。そしてその様子を見ている…看護士女性の感じるところ。転校転校の子供の…いじめられないための処世術。そして…稀有なことに十数年後に北海道大学で再会した幼馴染。生き甲斐と死に甲斐の…谷間とは

2023/03/04

五右衛門

読了。螺旋シリーズ。しかも久しぶりの作家さんでした。懐かしさいっぱいでした。この言い回し~とか、この思考の仕方とか。でもシリーズに引っ掛けながらも対立構図も見事でしたし、若者の中での葛藤?表の顔だけでなく裏の顔、それを他人が見ると…など引き込まれました。最後は智也何とかなるのでしょうね。期待が持てました。海と山決して混じり合わないけれどお互いは絶対、絶対必要としている者同士今後が楽しみです。次の螺旋シリーズポチリました。あ~面白かった。

2022/12/07

みこ

決して交わることの無い二つの部族、ゆえに螺旋。そんな螺旋プロジェクトからまずは一冊。なにかそれらしいことをすることでしかアイデンティティを保てない堀北雄介の半生を周囲の人物の視点から描く。彼の貼っている虚勢が徐々に剥がされ露わになる有様は滑稽さとしんどさを感じさせる。大学時代の安藤与志樹編が特にしんどさと面白さの両立が抜きんでていた。自分の薄っぺらさと向き合いつつも社会のためでも大義のためでもなく好きな女性の目の下のクマを取り除くために頑張って彼女の活動を助けると決意した与志樹は最高に格好良いと思う。

2022/11/24

里愛乍

螺旋プロジェクト7冊め。シリーズ中最も平和であるはずの平成編が、今までの時代に比べて最もキツいと感じるのはどういうわけか。既読作品からも分かるように、朝井リョウ氏は人間の心の闇を実に的確に突いてくる。分かりやすい〈対立〉を排除したところで人類史上からそれが消えて無くなるはずはなく、むしろ非常に歪な形で存在する。対立とは差異であり、そこにおのれを見出していたとすれば、それを求めて彷徨う雄介が唯只憐れで悲しい。こうしてみると〈対立〉とは必要悪なのではとすら考えてしまいます。

2023/11/07

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