ハコウマに乗って
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ハコウマに乗って / 感想・レビュー
pohcho
「Number」と「文藝春秋」の連載エッセイ。「Number」の方は東京オリンピックを区切りにするはずだったが、延期になり開催前に連載を終了された。まえがきにそのあたりの事情が書かれていて、誠実な人だなあと。そして、最近よく雨に降られるせいか、雨の話が印象的だった。黒澤監督の「素晴らしき日曜日」は是非見てみたい。何でもCGでできると言いながら、雨垂れ一つ一つを1/24秒の一コマずつ丁寧に消して、雨の日を晴れにするのもすごい。労働環境改善、ハラスメント教育、AIなど今時の業界事情も興味深く読んだ。
2024/04/25
竹園和明
スポーツ雑誌『Number』と『文藝春秋』に寄稿したエッセイ集。『Number』への寄稿文は、コロナ禍で競技が中止となった時期のアスリートへの想いやスポーツ観戦を愛するご自身の葛藤が書かれ、『文藝春秋』の方は映画監督として役者やスタッフを束ねるご苦労に加えて今回はご自身の事が結構面白おかしく書かれていてファンとしては嬉しい。スポーツもコロナ禍も映画に対しても、彼女の視点は相変わらず鋭く至極真っ当。これが西川美和の素の強みだ。役所広司氏の演技とスタッフへの配慮について書いた「てんしのうた」に特に唸らされた。
2024/04/14
桜もち 太郎
彼女の作品は全て読んできた。ルッキズムと言われようが、彼女の顔が好みだから仕方がない。映画監督として脚本から一つの映画を創り上げるストイックさ。「生活のために仕事をするのではなく、自分の人生を生きるために仕事があるのだ」彼女の映画との向き合い方は、どんな仕事にも当てはまる。「自分の人生を生きるため」に日々の仕事をしているか、自分に問いかけたい。タバコに酒、仕事に異性、一旦始まると、けじめがつかなくなる所も魅力的だ。ハコウマとは、映画用語で高さを出すために乗る箱のこと。153センチの小柄な彼女らしい題名だ。
2024/04/06
たらお
「映画にまつわるXについて」で、エッセイを読んだときに何て面白い言い回しをする監督なんだと思ったのだけれど、文藝春秋で連載していたエッセイを読み、改めて監督の言い回しの特徴で感じたのは、落語のような流れでエッセイが進むこと。本編の話題と関係なくはないけど遠からずのまくらがあり、それが本編にスムーズにつながり、下げで終える。そして、ことの例えが上手なところが好ポイントだ。さらに、内面も気取っていない。オリジナルの脚本も小説も書くことができる映画監督。今後も心をえぐる作品を生み出してほしい。
2024/04/19
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