キリエのうた (文春文庫 い 103-4)
「キリエのうた (文春文庫 い 103-4)」のおすすめレビュー
岩井俊二監督の映画『キリエのうた』原作小説。歌うことでしか声を出せないシンガー・キリエと、彼女を取り巻く人々の物語
『キリエのうた(文春文庫)』(岩井俊二/文藝春秋)
10月13日、岩井俊二監督の待望の新作映画『キリエのうた』が公開されることになった。「歌だけが居場所だった」――印象的なコピーが目を引く本作は、歌うことでしか“声”を出せない住所不定の路上ミュージシャンを中心に、別れと出逢いを繰り返す4人の人生が交差する13年を描く物語だという。主演はBiSHとして活躍しながらソロとしても活動の場を広げるアーティストのアイナ・ジ・エンド、共演はSixTONESの松村北斗、黒木華、広瀬すずと豪華キャストが集まり、早くも注目を集めている。現在、専用サイトで予告のトレイラー映像に続き印象的なキャラクタービジュアル&映像も順次公開中。美しくて透明感があって、ちょっとせつなくて…少しずつ明らかになるその世界に、「早く見たい!」と思いを募らせている方もいるだろう。
このたび秋の映画公開に先駆け、岩井俊二監督自身が手がけた原作小説『キリエのうた(文春文庫)』(岩井俊二/文藝春秋)が発売されることになった。映画公開まで3ヶ月もあるのに監督自身が書いた「原作」が出るということは、…
2023/7/5
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キリエのうた (文春文庫 い 103-4) / 感想・レビュー
セロリ
スラスラ読める作品。物語は、キリエといっこさんの出会いから、いや再会から始まる。登場人物はそれぞれ事情を抱えている。歌えるけど話せないキリエと、そのマネージャーを買ってでたいっこさん、二人を引き合わせた夏彦のことが章を立てて書かれる。やや説明くさい。もっと読者を信じて、ストーリーの中に織り込んで教えて欲しかったな。そして最後の終章。うーむ、これはいかがなものか🤔 どんな効果を狙ったんだろう?なくても良かったんじゃないかと思ってしまう。
2024/02/23
Bashlier
3/5 現代作品では珍しいありえそうなフィクション良作。著者は一貫してフィクションとノンフィクションの境界線を探ってきました。本作はかなり熟成が進んだ印象です。今回のテーマは”声”。舞台と追憶の時間差が生々しく描かれてる点がベテラン技巧感たっぷり。ただし、元々が映像化前提の脚本である為、サッパリ塩味。お料理屋さんの突き出しで期待が高まるような感覚。滑り出しは上々、映像作品でこの脚本にどこまで味が乗ってくるのか、今から楽しみにしております。
2023/07/09
ぽてち
ギターを手に街角に立ち歌うストリートミュージシャンのKyrie(キリエ)。聴く人の心を震わせる歌声をもつ彼女はしかし、歌以外では声が出せず満足に話すことさえできなかった。思いを声にできるのが歌だけなんてまるでファンタジー小説だなと思い読み始めた。まったくの思い違いだった。読み進めるにつれ、彼女の周りにいる風変わりな人々の過去が明らかになり、彼女自身が背負っているものが見えてくる。絶句し、涙があふれた。この作品は岩井さんご自身が映画化されている。残念ながら公開時に観られなかったので、機会があれば観てみたい。
2024/02/12
空のかなた
原作を読むと、どうして上映中に映画を観なかったのかと後悔があとからあとから湧いてくる。キリエ(希)という名前、逸子(源氏名?)と自分ではない存在のベールをまといながら必死に行きている二人の女性が、スクリーン上でどんなふうな表情をするのか、科白をどう解釈するのか、うずうずしてくる。被害市日本大震災、親愛なる人との別れ、引きずる未練。素敵な世界観でした。
2024/01/18
シェルティ
BiSHのアイナ・ジ・エンドさんに岩井俊二監督がベタぼれして主役抜擢。原作とアイナさんの境遇が似てるとのこと。映画も早く観たいが、原作はけっこうあっさりでした。
2023/07/15
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