首都圏で意外な“西郷どん”を発見!? ふなっしーに船橋愛はあるの!?

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更新日:2018/8/23

『散歩の達人』9月号(交通新聞社)

 こんにちは。月刊『散歩の達人』編集長の土屋です。

 今月号の大特集は「船橋・津田沼」。表紙からふなっしーが登場です。紹介している船橋市・習志野市は、アンデルセン公園、千葉ジェッツふなばし、そしてサッカー・野球・吹奏楽の強豪高校。さらには船橋が舞台の小説『きらきら眼鏡』は映画も今年公開……と、ローカルなのに意外にも全国に名の通ったものがたくさん。大型ショッピングモールや交通網も充実し、潮干狩りができる海だってすぐそば。今や “東京のベッドタウン”ではなく、一大“発信拠点”であり、住んで楽しい便利な都市。そんな街の魅力をたっぷりと紹介しています。

 そして、ふなっしーがインパクト大の大特集に隠れていますが、第2特集もおすすめなのです。特集は「“西郷どん”ゆかりの幕末・維新さんぽ」。鹿児島や京都だけでなく、東京都内にも“西郷どん”の面影を辿れるスポットが結構あるのですが、そんなスポットを散歩コースにして紹介しています(どのコースもポイントを辿るだけなら2時間以内と気軽です)。NHK大河ドラマでもいよいよ薩長同盟が締結間近、クライマックスを迎えつつある“西郷どん”。散歩気分で訪ねられる西郷どんスポットを誌面でご覧ください。

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 今回のコラムでは、そんな“西郷どん”ゆかりの意外なスポットを少しだけご紹介しましょう。都内の西郷さんといえば、彰義隊との戦いで知られる「上野」、そして薩摩藩邸があった「三田」が思い浮かぶと思いますが、今回は「汐留」から「日本橋」をつなぐルートを、西郷さんゆかりの散歩コースの最初に挙げています。このコース、意外な西郷さんの姿を知ることのできるコースなのです。

旧新橋停車場の再現ホーム。無料で見学できる鉄道歴史展示室もおすすめだ。

 まずは、汐留といえば「旧新橋停車場」。ここから日本で初めて鉄道が走った、というのは皆さんご存じでしょうが、じつは開業式の特別列車に、西郷さんも乗っていたのです。「鉄道より軍備」と早急な鉄道建設に反対していたという西郷さんですが、もしかしたら敬愛する明治天皇の命により、乗ることになったのかもしれません。そして開業式の後は、浜離宮にあった迎賓施設「延遼館」で宴席も設けられたそうですが、そこにも西郷さんが出席していたという記録があります。誌面では、どの車両に誰が乗っていたかの簡単な座席表も掲載しているので、ぜひご覧ください。

浜離宮恩賜庭園にある中島の御茶屋は、明治天皇が休憩に使用した。西郷さんが随行した行幸でも使用された。

 そしてコースの終点、日本橋は、維新後の西郷の屋敷があった地。今は屋敷跡が日本橋小学校になっていますが、ここで近くの『千疋屋総本店』に好物のスイカを買い求めていたそう。さらに近くの『割烹とよだ』は西郷が屋台時代にマグロの漬けを好んで食べたと伝わります。今では史跡ばかりで歴史的な建造物は残っておりませんが、今も続く日本橋界隈の老舗に西郷さんの嗜好が感じられて、楽しい散歩になるはずです。

ドイツ捕虜オーケストラの碑。西郷寅太郎により手厚い扱いを受けた捕虜たちは、施設内で演奏会や演劇も行い、ビールやワインまで醸造したという。ソーセージも作られた。

 そして、もうひとつの意外な西郷さんの足跡が、まさに今月号の大特集の地・習志野にあります。「習志野」の地名は、明治天皇がこの地で行われた大演習の際、活躍した篠原国幹を称え、「篠原に習え」という意味から当地を「習志野原」と命名したと伝わりますが、じつはこの習志野の大演習を指揮していたのが、西郷さん。このことは聖徳記念絵画館の壁画「習志野之原演習行幸」(小山栄達)にも、馬上の明治天皇とその横に控える西郷さんの姿が描かれています(画像は本誌に掲載)。さらに、演習場は後に軍事施設となり、習志野俘虜収容所が設置されましたが、この収容所の初代所長が西郷さんの嫡男・西郷寅太郎。習志野で意外な西郷さんつながりがあったのです。じつはこの寅太郎により、日本で初めてソーセージ製法が伝わったのですが、詳しくは誌面をご覧ください。

大特集では「ふなっしーの船橋愛を知りたいなっしー!」と題して、ふなっしーのインタビューを4ページにわたり掲載。詳しくは誌面にて。(撮影=町田紗季子<編集部>)

 さて誌面では、そんな意外な“西郷どん”ゆかりのスポット情報のほか、大特集の船橋・津田沼エリアの情報もたっぷり。このエリアならではのカフェや酒場、グルメ情報のほかに、「ふなっしーの船橋愛を聞くインタビュー」「著者・森沢明夫に聞く『きらきら眼鏡』と船橋」「この街でスポーツが盛んな理由」「京葉食品コンビナートを歩く」「“太宰治”船橋に生まれり」などなど、企画ページも盛りだくさんです。

 そして、そんな情報が満載の本誌を、どうぞ一度、手に取ってみてください。

土屋広道(つちやひろみち)
1972年生まれ。関西学院大学社会学部卒業後の1996年に株式会社弘済出版社に入社(合併を経て2001年に株式会社交通新聞社)。『鉄道ダイヤ情報』『旅の手帖』編集部を経て、2008年より『散歩の達人』編集部所属。2017年11月号より同誌編集長。

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