辛辣なネタでも笑わせる!! 阿佐ヶ谷姉妹、南キャン山里ら“芸人本”9選!

エンタメ

2018/10/17

「個性が死んじゃうでしょ」

 これは、テレビのバラエティ番組などで明石家さんまがよく使う言い回し。みなさんも一度は耳にしたことがあるかもしれない。“おしゃべり”や“仕切り上手”などの「個性」を武器にさんまは今日まで活躍を続けてきたわけだが、芸人の個性とは千差万別である。

 ここで、バラエティに富んだ “芸人本”9選をお届けしよう。

▼12年ぶりに赤裸々に語った南海キャンディーズ・山里亮太

『天才はあきらめた』(山里亮太/朝日新聞出版)

 2004年にM-1準優勝し、一躍脚光をあびた「南海キャンディーズ」の山里亮太。“南海キャンディーズ第2章”の幕開けに彼が新たな本を著した。『天才はあきらめた』(朝日新聞出版)。デビュー当時から不遇の時代、そして相方の“しずちゃん”こと山崎静代との関係に至るまでが赤裸々に語られている。

 本書は、12年前に出版された『天才になりたい』を加筆修正したものだが、恨みつらみが書かれたノートの現物写真の掲載やしずちゃんと険悪だった時期について多くページが割かれ、山里の心の中を前作よりもさらにストレートに表現している。「当時もやもやとしていた考え方に、くっきりと輪郭がついた感じ」と自身も語った本書で、南海キャンディーズ 山里亮太という“天才”を感じてほしい。

▼髭男爵・山田ルイ53世が、同じ一発屋芸人仲間に迫る

『一発屋芸人列伝』(山田ルイ53世/新潮社)

「ルネッサーン♪」のギャグでブレイクを果たすも、“一発屋芸人”と自称すらしているお笑いコンビ「髭男爵」の山田ルイ53世。第24回 編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞で、石井妙子氏の『小池百合子研究 父の業を背負って』と並んで作品賞を受賞した『一発屋芸人列伝』(新潮社)。山田ルイ53世は、本書を「サクセスストーリーではないけど、そういう『いい溺れ方』は学べると思います」と語る。

 ハードゲイキャラで一発屋になったレイザーラモンHG。“右から来たものを左へ受け流すの歌”で同じく一発屋になったムーディー勝山。同じように一発屋芸人として括られる仲間たちを取材してまとめた本書。芸人の世界のみならず、今の時代を生きる私たちに処世術を教えてくれる。

▼40代独身女芸人のほほんライフが癖になる阿佐ヶ谷姉妹のエッセイ集

『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』(阿佐ヶ谷姉妹/幻冬舎)

 姉のエリコさんと妹のミホさんの40代独身女芸人コンビ「阿佐ヶ谷姉妹」。コンビ名だけはゴージャス姉妹の“叶姉妹”と似ているものの、阿佐ヶ谷のワンルームに2人で住む生活ぶりは叶姉妹には想像すらできないかもしれない。

 そんな阿佐ヶ谷姉妹のリアルな日常生活を綴った“地味おもしろい同居エッセイ”が『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』(幻冬舎)だ。リレー形式で交互に書いた連載をまとめた本書には、「今年は最悪」と占い師たち全員にエリコさんが言われたエピソードやファッションの“差し色”についてミホさんなりのオピニオンなどが収録されている。「芸人として読者を爆笑させてやろう!!」という変な意気込みもない、のほほんとした一冊だ。

▼初対面でウォシュレットをくれた大家とカラテカ・矢部太郎の思い出

『大家さんと僕』(矢部太郎/新潮社)

 8月23日、お笑いコンビ「カラテカ」の矢部太郎が、自身の住む家の大家さんが亡くなった旨をTwitterで報告した。その大家さんは、矢部がその家で暮らした8年間の実話を漫画としてしたためた『大家さんと僕』(新潮社)に登場する。

 初めて大家さんと矢部が会ったのは内覧の際。「ごきげんよう」という上品な挨拶と一緒にウォシュレットをくれた大家さんに、「ああこの部屋とは長い付き合いになるな」と矢部さんは感じたそうだ。人見知りの性格もあって最初は苦手であった大家さんとも、お茶を一緒に飲んだり昔の町の様子を語ってもらったりしていくうちに距離は縮まっていった。

「できればずっと住み続けたいです!」と矢部さんが語る大家さんとの思い出に触れて、みなさんにも温かい気持ちになってもらいたい。

▼文字通り、いとうあさこの手かかればレモングラスも生姜に!?

『あぁ、だから一人はいやなんだ。』(いとうあさこ/幻冬社)

 レモングラスの香りのハンドクリームを塗っていたのに、「この部屋なんか生姜くさくないですか?」とマネージャーに言われてしまった。特別ドラマチックなことやお笑い界の赤裸々バクロ話などが書かれているわけではない本書。

「いとうあさこ」という “40代女性の日常”を綴った一冊が『あぁ、だから一人はいやなんだ。』(幻冬社)だ。本書には、時事ネタについても多く書かれているので、「40代女子」を一生懸命で前向きに全うしているいとうさんの等身大の生活を通して、“そう言えば、そんなこともあったなぁ”と当時の余韻に浸ってみるのもおもしろい。

▼ファミコンに育てられた芸人:フジタの半生

『ファミコンに育てられた男』(フジタ/双葉社)

 狼に育てられた少女が登場する、スタジオジブリの大ヒットアニメーション映画『もののけ姫』をご存じの人は多いだろう。しかし、“ファミコン”に育てられた芸人によるエッセイ集『ファミコンに育てられた男』(双葉社)はどうだろう? その著者は「フジタ」。サンドウィッチマンやカミナリなどをかかえる芸能事務所グレープカンパニーに同じく所属し、1万5千本ものゲームを所有する根っからのゲーム狂だ。母親とは死別、毎週生活費3万円を置いて父親は恋人のもとへ消えていくという環境のもと、フジタは育った。そんな過去の経験だけではなく、芸人ならではの面白エピソードをゲームの話と交えながら語った本書。ファミコン芸人の生き様をみなさんも感じてほしい。

▼スピードワゴン小沢をそそのかしたスポーツ漫画の名言たち

『夜が小沢をそそのかす スポーツ漫画と芸人の囁き』(小沢一敬/文藝春秋)

 政治や音楽の世界など、業界の顔となる“小沢さん”は各々いる。では、お笑いの世界の小沢さんといえば!? 「スピードワゴン」の小沢一敬という声は多いだろう。独特なセンスを活かしてテレビなどで活躍する小沢だが、実は自宅に3000冊以上を所蔵するほど芸能界指折りのマンガ好き。数あるスポーツマンガの中から、小沢が“そそのかされた”名言を取り上げ、自らの人生でどのように役立ててきたかを綴ったエッセイ本が『夜が小沢をそそのかす スポーツ漫画と芸人の囁き』(文藝春秋)だ。

『あしたのジョー』『リングにかけろ』といった往年の名作から、『無謀キャプテン』『ジャイアント』『根こそぎフランケン』などの通好みな作品まで。スポーツマンガ24作品から名言32個が厳選されている。マンガを切り口にしながらも、ウィットに富んだ小沢式人生哲学を学べる一冊だ。

▼松原タニシいわく、綺麗すぎる壁は事故物件の特徴

『事故物件怪談 恐い間取り』(松原タニシ/二見書房)

 世の中にはいろいろな仕事がある。テレビの破天荒な企画の演者に芸人が選ばれるなんて話はよくあることだろう。芸人「松原タニシ」もその一人。“事故物件で幽霊を撮影できたらギャラがもらえる”という企画に参加し、それから事故物件に松原は住み続けているという。

 しかも、そんな自身の体験談などを綴った書籍『事故物件怪談 恐い間取り』(二見書房)を出版までしてしまったからあっぱれだ。最初に住んだのは、大阪府難波近くのワンルーム。最初に入ったときに綺麗すぎる壁に違和感を覚えた。他の住人の話を聞くうちにその物件がなぜ事故物件になったのかを知り、さらに心霊的な体験もすることに。

「一番はじめにとんでもない物件に住んでしまった」と松原自身もその物件を振り返っているが、松原の住んだ他の事故物件での世にも奇妙な体験談でみなさんにも楽しんでもらいたい。

▼“オアシズ光浦靖子の夢”の本に、極楽とんぼ加藤との苦い思い出も

  

『靖子の夢』(光浦靖子/スイッチパブリッシング)

 ばあさんになったら沖縄に住んでカフェを経営しながら自作のブローチを売る。そんな夢を持つのは、人気のお笑いコンビ「オアシズ」の光浦靖子。芸人・タレント活動のかたわら、手芸作家としても活躍するマルチな彼女の“夢”が『靖子の夢』(スイッチパブリッシング)という形で綴られた。

 写真集であり、作品集であり、エッセイであり、手芸本でもある。そんな見ごたえ・読みごたえのある一冊には、極楽とんぼの加藤浩次との思い出も。プレゼントしようと、「トラ」と「プロレス」という加藤の好きなものをテーマにした超立体的“火の輪くぐりのトラ”のブローチを光浦は作った。しかし、「最高峰の藁人形だよ!」と加藤は拒否。そんな苦い思いを乗り越えて、「これからは誰かのためではなく自分のために作ろう!」「結婚も、子どもも、手に入れられたから幸せ、手に入れられなかったら不幸せなんていう単純なもんじゃない。手に入れてないから私は自由を手に入れた」と今では語る。

 読書好きの光浦らしいシンプルで味わい深い文体に載せられた“靖子の夢”を微笑みながら読んでみてはいかがだろうか。

文=田中同年代