血の繋がらない家族の再構築と怪物“ジャバウォック”の謎をめぐる家族小説『君の名前の横顔』河野裕インタビュー
『君の名前の横顔』(河野裕/ポプラ社)
『サクラダリセット』『いなくなれ、群青』『昨日星を探した言い訳』など、多くの作品で10代の少年少女の特別な関係を描いてきた河野裕さん。最新刊『君の名前の横顔』(ポプラ社)は、そんな河野さんが初めて“家族”に焦点をあてた長編小説。本作で河野さんはどのような家族像を描こうとしたのか、そして物語の鍵となる怪物“ジャバウォック”とは。この壮大でファンタジックな家族小説を読み解くためのキーワードや作品にかける思いをうかがった。
(取材・文=橋富政彦 撮影=内海裕之)
(あらすじ) 15歳のときに父を亡くして以来、楓は父の再婚相手である愛とその連れ子の小学生、冬明と3人で暮らしていた。愛と冬明のことを大切に思いながらも、血の繋がっていない母と弟という関係に違和感を持つ楓。一方、愛の目下の悩みは、学校に行きたがらない冬明の発育状況だった。冬明は奇妙なことを話し出す。「紫色の絵具がなくなったんだ。ジャバウォックが盗っちゃったんだよ」と。そしてある日、冬明はかつて父を自殺に追い込んだ炎上騒ぎにおいて、それを煽っていたアカウント…