『宇宙兄弟』弟・日々人は“病気”に立ち向かうことで“成長”した。パニック症(パニック障害)の専門医が本作における症状と治療の描写を解説
マンガ『宇宙兄弟』の最新41巻が発売された。「月」を目指す兄弟を描いた本作は、いよいよクライマックスを迎えている。連載開始から14年のなかで、兄弟には、それぞれの大きな紆余曲折があった。
『宇宙兄弟』41巻(小山宙哉/講談社)
本作は、宇宙飛行士になるという夢を諦めて、一般企業で働く兄・六太が、JAXAの試験を受けるところからスタートする。一方、弟・日々人は既にNASAのエリート宇宙飛行士だったが、とある事故がきっかけで「パニック症」を発症してしまい、NASAを辞めることとなる。
日々人は別の道から再び宇宙を目指すことになるのだが、パニック症に立ち向かい、克服しようとする姿が、時間をかけて、とても丁寧に描かれている。 当初は病気を受け入れることさえできなかった日々人だったが、苦しみながらも、仲間に助けられて地道な治療を続ける。その姿が、苦しそうでありながらも力強く、読者に勇気を与えてくれるように感じるのだ。
本作におけるパニック症の描写を深く知ることで、日々人の苦難や感情を、より理解することができるのではないだろうか。 そこで本記事では、パニック…