平野レミが歌とセットで披露していた「火も包丁も使わないデザート」/エプロン手帖

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公開日:2023/2/25

私の料理の原点は、やっぱり母の味でした――
エプロン手帖』(平野レミ:著、和田誠・舟橋全二:絵/ポプラ社)は、平野レミさんが、28年前に出した書籍を大幅にリニューアルしたエッセイ集です。51の食材にまつわるエッセイと、レミさん撮影によるお料理の写真、レシピがエッセイとともに楽しめます。料理を盛る器にこだわり、背景に夫の和田誠さんのポスターや自身のブラウスを敷くなど、スタイリングもご自身で手がけたそう。リニューアルした本書から、厳選した8つのエッセイとレシピをご覧ください。

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エプロン手帖
エプロン手帖』(平野レミ/ポプラ社)

火も包丁も使わないデザート

 幼児のために火も包丁も使わないお料理の本を作ったことは前にも書いた。火と包丁なしで料理ができるかしら? と不安になったけど、パンにバターとハム、というのもサンドイッチの第一歩だと考えれば、いろいろアイデアも浮かぶのだった。野菜を手でちぎってマヨネーズかけてサラダにすることもできる。りんごをむくのはナイフがいるけど、バナナなら手でむけるし。

 デザートも考えた。編集部の女性と打ち合せ中、密閉容器に生クリームと砂糖を入れてよーくふると、初めピチャピチャいってるけど、音がしなくなる。それでホイップクリームができることがわかった。これを果物にのせればすてきなデザートになる。

 こうして二冊の絵本『ひもほうちょうもつかわない平野レミのおりょうりブック』と『ひもほうちょうもつかわない平野レミのサラダブック』を作った。絵はまた二人の息子が描いた。

 私はシャンソン歌手だけど、八木正生さんの紹介で「四季の味」に素人料理を発表してから、いつの間にか〝お料理の人〞になってしまった。でも〝料理研究家〞というのはおこがましいので〝料理愛好家〞と言ってます。それでもときどき講演などを頼まれて、お話と歌とお料理のセットで地方のホールを回ったりする。

 ホールのステージには火の設備などないので、卓上コンロを使う。それもダメなときは火を使わないケーキをご披露する。ボウルの中に市販のカステラをちぎって敷きつめ、シェリー酒やブランデーを入れ、ナッツ類も適当に入れ、ジャムを入れ、ホイップクリームを入れる。冷蔵庫でよく冷やす。全体に味がなじんだらスプーンで取り分けて食べる、というもの。みんなに試食してもらう。(次のページに続く

エプロン手帖
イラスト=舟橋全二

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