古い卵の方が作りやすい料理って? 知っておきたい卵のこと/『自炊のトリセツ おいしいごはんの法則』④

食・料理

公開日:2020/3/19

長年ビギナー向けの料理書を手がけ、料理初心者の気持ちを知り尽くした料理研究家・栄養士の小田真規子先生が手掛ける自炊本。砂糖・塩・酢・醤油・味噌の5つの基礎調味料を使った、わかりやすく簡単で、絶対に失敗しない料理のコツを紹介します。

『自炊のトリセツ おいしいごはんの法則』(小田真規子/池田書店)

卵のトリセツ1 知っておきたい卵のこと

実は、卵には意外と知られていない性質・特徴があり、それがわかればさらにおいしさを引き出せます。万能食材なので料理の幅も広がりますよ。


鮮度によって使い分ける

日が経った卵は卵白に二酸化炭素が溶けて弾力がなくなり、全体に広がりやすく水っぽくなります。また、キメ細かい泡が立ちやすく溶けやすいので、茶わん蒸しや卵とじに向いています。新しい卵は黄身がぷりっと丸く、目玉焼きやゆで卵などに使うといいでしょう。

【新しい卵のほうが作りやすい料理】


【古い卵のほうが作りやすい料理】


「短時間で加熱」が成功のカギ!

実は卵白と卵黄では固まる温度に違いがあり、卵黄は65℃から70℃、卵白は60℃から80℃で固まります。80℃以上になると味わいが落ちてしまうので、卵料理を作る際は短時間で手早く仕上げたい。


割るときは「面」で!

角ではなく平らな面に卵を水平にし、コツンと軽く打ちつけると、黄身が崩れず殻が中に入りにくいです。ひびに親指を当てて両側に開いて割りましょう。


意外と長く持つ

卵は、採卵後、夏16日、春・秋25日、冬57日が消費期限の目安です。10 ℃以下で保存すると、かなり長く持ちます。保存場所は冷蔵庫がベストです。


よりおいしくなる調味料&油脂使い

大きく2つに分けると、「しっかり固めるもの」と「ふんわり柔らかく仕上げるもの」がある卵料理。
相性のいい調味料を知れば、もっとおいしく仕上がります!

「しっかり固めたい」卵料理

目玉焼きやゆで卵など、固めて仕上げるジャンルの卵料理は、塩や酢を使うのが失敗なく仕上げるコツ。目玉焼きは卵白に塩を加えて、固まりづらい卵白を固まりやすくします。ゆで卵は酢か塩を加えてゆでると、万が一殻が割れてしまったときに卵白を固めてくれるので安心です。

目玉焼きには塩!

塩は食材に含まれる水分を抜き、たんぱく質を固める働きがあるので、肉や野菜などの下処理にも使われる調味料。卵も同様で、フライパンに卵液を流し込んだ後、卵白の部分に塩をふると固まりやすくなります。


ゆで卵には酢!

ゆで卵を作るときは、沸騰した湯の中に酢(もしくは塩)を加えてから卵をゆでます。こうすると万が一、卵の殻にヒビが入り、卵液が流れ出そうになった場合も凝固作用によって固めてくれる効果があり、安心です。


「ふんわり仕上げたい」卵料理

卵料理をとろっと半熟で仕上げたい場合やふんわりした食感を味わいたい場合、卵の混ぜすぎはNG。卵白と卵黄が完全に混ざ ってしまうと卵液が固まりにくく、ふんわりした食感になりにくいからです。混ぜすぎないためにも、菜箸で溶くといいでし ょう。さらに、混ぜた後に箸で卵液を持ち上げて、白身を切るとより効果的です。

スクランブルエッグには乳製品!

スクランブルエッグはバターや牛乳などの乳製品を用いると、卵液への火のあたりがやわらぎ、ゆっくりと均一に火が通ります。また、卵液を混ぜる際に白身を切ると、よりなめらかな卵液になり、食感よくふんわりと仕上げることができます。


卵焼きには砂糖!

砂糖は甘いだけでなく保水効果があり、卵に含まれるたんぱく質が固まるのを抑えます。卵液に加えることで火の当たりがやわらぎ、食べたときも柔らかい食感に。冷めても柔らかいので、お弁当に入れてもおいしく食べられます。


卵とじにはたっぷりの水分!

卵とじは煮汁の水分を多くすると、熱しているときに浮力が働き、卵が沈まずふんわり固めることができます。卵液を混ぜる際に白身を切る&火加減は最初から最後まで一定のまま、短時間で手早く仕上げるのも、柔らか食感に仕上げるコツ!


<第5回に続く>