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箱庭の巡礼者たち

箱庭の巡礼者たち

箱庭の巡礼者たち

作家
恒川光太郎
出版社
KADOKAWA
発売日
2022-07-04
ISBN
9784041116555
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「箱庭の巡礼者たち」のおすすめレビュー

洪水で流れ着いた黒い箱は不思議な別世界と繋がっていた――6つの世界がひとつにつながる、著者のファンタジー世界の到達点!

『箱庭の巡礼者たち』(恒川光太郎/KADOKAWA)

 洪水で流されてきた箱をあけると、そこにはミニチュアの人々や動物たちが生きる、異世界があった――。恒川光太郎氏の最新作『箱庭の巡礼者たち』(KADOKAWA)は、主人公の少年がそんな箱庭の世界を発見するところから始まる。洪水で母を亡くし、父は仕事で不在がち。ひとりきりで過ごす時間の多い少年、内野陽は箱庭世界の観察に没頭するようになり、やがてそこで起きているさまざまな出来事に気がついていく。

 たとえば城には王族や貴族が住んでいて、町の人々を支配している。定期的に城から騎士が派遣され、町の住民を追いかけまわして殺すのだ。また、一年に一度、住民投票によって必ず“死刑される人”が選びだされる。誰かを選ばなきゃいけない、という理由だけで命を奪われる無実の人がいる一方、善人の顔をして裏で人々を殺しまくっている殺人鬼もいる。

 殺人鬼の存在に気づいたのは、唯一秘密を共有している同級生で、恋人でもある絵影久美だった。どうやら警察機構の存在しない箱庭では、誰も殺人鬼を止めることができず、野放しだ。誰かがなんとかしな…

2022/7/4

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箱庭の巡礼者たち / 感想・レビュー

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starbro

8月の第一作は、恒川 光太郎の最新作、恒川 光太郎は、新作中心に読んでいる作家です。 本書は、幻想奇譚の短編集、オススメは『箱のなかの王国』&『洞察者』でした。 https://www.kadokawa.co.jp/product/322104000336/

2022/08/01

のぶ

6つの短編とそれに伴う短い「物語の断片」が添えられた作品集。それぞれは独立しているように見えるが、他の話と繋がる部分が微かにある。ジャンルはファンタジーあり、SF色の強いものもあった。作品の評価はというと、好みのもの、そうでないもの、難解で分からないもの(最後の「円環の夜叉」)様々で、ある意味バラエティーに富んでいた。個人的に一番のお気に入りは、最初に収められている「箱のなかの王国」だった。これが今までの恒川さんの作品の流れに近い気がした。他の方の評価は全体を通して高いようなので、あくまで個人的です。

2022/07/10

はにこ

恒川さんらしい独特な空間の物語だった。時代や場所を変えながらもどこか繋がっている。時間を超えたり不死身に近かったり、吸血鬼がいたり。こんなことありえないって思うけどありえないと言い切れるのだろうか。未来にあることかもしれない。想像すると面白い。

2022/08/18

とろとろ

ある時、黒い箱を拾った小学生がその中を覗いてみると箱庭のような一つの世界があった。中学生になって知り合った女友達にその箱のことを教えると、その子はついに中に入ってしまった。箱の中の世界で、その子はジャンヌ・ダルクの様に生きて死んでいくのだが、それから話は箱の中の住人の視点に変わる。箱の世界は目に見えない壁によって四方が取り囲まれているが、次元干渉装置を使えばその壁を抜けて別の箱庭世界に行けるのだという。要するに多次元世界ファンタジーとでも言えばよいのかしら。好き嫌いの大いに分かれる話。自分は好きだけど…。

2022/10/14

ちょろこ

フィーリングの一冊。流れ着いた小さな箱から始まる壮大な時間と世界。時に残酷、時に物哀しさが灰色のさざなみのように心を揺らしてくる感覚は言葉にできない好きが溢れてくる。これはまさにフィーリング。各々独立的に見せられながらも、緩やかな交わりの時を手繰り寄せる瞬間はまるで浪漫飛行をしている気分。自分の創り上げた時間がもしかしたら誰かの新しい時間へ繋がるかも。過ちを遺し伝え世界は再生して行くのかも。この世も今もしかしたら誰かに覗かれ、行く末を見つめられているいる途中の箱なのかも。そんな想像妄想がまた楽しい読後感。

2022/08/15

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