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自転しながら公転する

自転しながら公転する

自転しながら公転する

作家
山本文緒
出版社
新潮社
発売日
2020-09-28
ISBN
9784103080121
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「自転しながら公転する」のおすすめレビュー

7年ぶり山本文緒の新作は、地元のモールで働く32歳独身女性が主人公。アパレル店員にとって身繕いは鎧兜か!?

『自転しながら公転する』(山本文緒/新潮社)

 前作『なぎさ』から7年ぶりの小説。長かった。そして待った甲斐があった。山本文緒7年ぶりの新刊『自転しながら公転する』(新潮社)は、相変わらずリーダビリティーが高く、450ページ超という長さを感じさせない傑作である。

 舞台は茨城県の牛久。主人公の都はアウトレットモールのアパレルショップで、非正規社員として働く32歳の女性。そんな都は回転寿司屋で働く元ヤンキーの貫一に惹かれ、交際がスタート。だが、旅行先の温泉で予期せぬ出来事に出くわし、それが原因でふたりは会わなくなってしまう――。

 都の前には頭を悩ませる問題が山積している。上司のセクハラ/パワハラ、更年期障害の母親のケア、不安定な仕事に就く貫一と結婚するのか等々。32歳という年齢、契約社員という立場がさらに問題を複雑化している。これが20代前半だったら、結婚についてそこまで切羽つまっていなかっただろう。女友達の助言を受けながらも、都は手探りで正解を模索していく。

 とまあ色々なレイヤーを持った小説なのだが、筆者は都たちがTPOに最適な服を選び、一喜一憂する…

2020/10/23

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「2021年本屋大賞」決定!! 大賞は町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』 全ノミネート作の順位を発表!

 全国の書店員が選ぶ、いま一番売りたい本を決める「本屋大賞2021」の受賞作が4月14日(水)決定した。

 18回目となる今回のノミネート作品10作の中から大賞に選ばれたのは、町田そのこ氏の『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社)!

2021年本屋大賞受賞作 『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社)

『52ヘルツのクジラたち』(町田そのこ/中央公論新社)

翻訳小説部門の大賞は『ザリガニの鳴くところ』(ディーリア・オーエンズ:著、友廣純:訳/早川書房)

気になる残り9つのノミネート作品は?

2位『お探し物は図書室まで』(青山美智子/ポプラ社)

3位『犬がいた季節』(伊吹有喜/双葉社)

4位『逆ソクラテス』(伊坂幸太郎/集英社)

5位『自転しながら公転する』(山本文緒/新潮社)

6位『八月の銀の雪』(伊与原新/新潮社)

7位『滅びの前のシャングリラ』(凪良ゆう/中央公論新社)

8位『オルタネート』(加藤シゲアキ/新潮社)

9位『推し、燃ゆ』(宇佐見りん/河出書房新社)

10位『この本を盗む者は』(深緑野分/KADOKAWA)

「本屋大賞」に選ばれた作品は…

2021/4/14

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《2021年本屋大賞》あなたが予想する大賞は!? ノミネート作品を総ざらい!

 全国の書店員が「いちばん!売りたい本」を選ぶ「2021年本屋大賞」のノミネート作10タイトルが決定した。毎年大きな話題を呼ぶ同賞だが、一体今年はどの作品が大賞に選ばれるのだろうか。気になるノミネート作10作品の内容を総ざらいしよう。

犬のコーシローが12年間見つめた地方の進学校に通う18歳の青春――『犬がいた季節』伊吹有喜 『犬がいた季節』(伊吹有喜/双葉社)

『犬がいた季節』は三重県の進学校を舞台に、18歳・高校3年生の生徒たちの物語を描く連作短編集。作中で流れる12年間は、生徒たちによって学校で飼われていた白いふかふかの毛の犬・コーシローが生きた時間。地方の進学校も、コーシローも、著者・伊吹有喜さんの母校と、そこに実在した犬がモデルなのだそうだ。伊吹さんはこの物語にどんな思いを込めたのだろうか。

 昭和、平成、令和…。時代を経て移り変わるそれぞれの物語は、その時代の音楽、流行、時事ニュースなどを背景に語られていく。地方都市ならではのリアリティも、随所に盛り込まれる。

「18歳で選択をした後にも人生にチャンスはあるし、そのときにはもっと選択肢が広が…

2021/2/16

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自転しながら公転する / 感想・レビュー

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starbro

七年ぶりの新刊、久々山本 文緒の作品を読みました。本書は、アラサー女子のリアル、令和著者版金色夜叉の秀作、読み応えがありました。今年のBEST20候補です。茨城のアウトレットとは、あみプレミアム・アウトレットでしょうか? https://www.premiumoutlets.co.jp/ami/ https://www.shinchosha.co.jp/jiten-kouten/

2020/11/11

さてさて

会社に、恋愛に、介護にと同時に押し寄せる様々な悩みの中もがき苦しみながらも前を向いて歩んでゆく主人公・与野都。思わず登場人物達に感情移入してしまうリアルな人生の物語。それは、私たち自身も「自転しながら公転する」、そんな毎日を送っているからなのだと思います。私たちは、他の軌道を回る人を見ながらも、そんな他の人の軌道に移ることはできません。私たちは私たちそれぞれの軌道を「自転しながら公転する」しかないからです。そんな私たちそれぞれの自転と公転の人生に幸あれ!そんな風に感じた読み応え十分の素晴らしい作品でした。

2021/02/20

bunmei

『本屋大賞』候補作品コンプリート。30代女性を主人公に、派遣の仕事や立場、親の看病、恋愛等、リアルな日常場面を切り取り、その折々の複雑な感情や葛藤を、妙に生々しく描いている。男の自分から見ても、同世代女性の中には共感する人も多いだろうと感じた。また、年頃の娘を持つ父親として、寛一のような男を娘から紹介されたら、やはり、簡単には受け入れ難い。様々な苦悩の中、自分の人生だからこそ『自転しながら公転する』の表題通り、歩み続けるしかないのだろう。それぞれにとっての「幸せとは何か?」を問いかけてくる一冊である。

2021/03/17

ミカママ

語彙や文章のスタイルが、意図せずにこちらの心の襞にグイグイ沁みてくる作家さん、というのが存在する。わたしにとって山本文緒さんはその代表的なひとり。長いこと体調を崩されていて、ファンとしては心配ながらも新作を首を長くしてお待ちしていた。7年ぶりだというこの長編、冒頭はその閉塞感から息の詰まるような思いもしたし、主人公の母親の更年期障害からのうつ病は、おそらくご自身の体験を余すことなく描かれたのだろう。プロローグとエピローグは書き下ろしとのことだが、この加筆部分のスゴさにも舌を巻いた。さすがだぜ。

2020/12/20

nanako

いやぁ、山本文緒作品、久々に読みました。「こんな感じの作品を書く作家さんだったっけ?」というのが最初の印象ですが、こんな感じ、嫌いじゃないです。都は現実的でないような、極めて身近に起こりうるような、様々な出来事…に直面、その度にかなりイライラさせられますが、応援したくなってしまう不思議で魅力的なキャラクターでした。エピローグで明かされる「その後の都」と、頼りない都がなんとなく結びつきませんでしたが、彼女も強くなった、ということでしょうか?^^♪

2021/05/09

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