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「岡野宏文」のレビュー・書評

なにがなんだか分かんないことの豪壮な面白さを伝える不条理小説

なにがなんだか分かんないことの豪壮な面白さを伝える不条理小説

銀行に勤めるヨーゼフ・Kはある朝目覚めると、侵入してきた男二人にいきなり逮捕される。だが逮捕状もなければ、罪名も分からない。身柄は拘束されず自由にしていていいのだが、裁判所に出頭してさえなにもはっきりせず、依頼した弁護士の活動が進んでいるの…

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「新感覚派」と呼ばれた鬼才の鋭い言葉のアクロバットを堪能されたし

「新感覚派」と呼ばれた鬼才の鋭い言葉のアクロバットを堪能されたし

横光利一はいわゆる「新感覚派」と呼ばれる作家の一翼です。 「新感覚派」というのは、感覚が「新」なのですな。この意味は、新しく感じるんじゃなくて、新しい形で感じるんですな。感じ方が新しいと、感じる中身も新しくなるのです。でそれはもちろん、文章…

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型破りなオーバーアクションに涙なくして読めないのだ、笑いすぎて、ああ菊池寛

型破りなオーバーアクションに涙なくして読めないのだ、笑いすぎて、ああ菊池寛

菊池寛の一般的な作家イメージはヒューマニズムに基づいた大感動ストーリーの人ではないかしら。しかし、漢字を多用したちょっと古めの言葉遣いのスクエアな感じにたぶらかされてはいけません。あの「真珠夫人」の底抜けの、「anything gose」な顔を忘れちゃ…

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新鮮な官能が倦怠した文化を刷新する「想像力のテロリスト」

新鮮な官能が倦怠した文化を刷新する「想像力のテロリスト」

「桜の木下には死体が埋まっている」といったのは、坂口安吾だとよく間違われるけれど、梶井基次郎ですね。安吾は「桜の森の満開の下」で、満開の桜はご陽気なようにみんな勘違いしているけれど、満開の桜の花の下から人間を取り去ってみると、気の違うよう…

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ありえないキャラクターのありえなさを楽しむ破格ミステリー

ありえないキャラクターのありえなさを楽しむ破格ミステリー

秦健日子による雪平夏見シリーズの3冊目。「アンフェア」シリーズといってもいいだろう。 河原で発見された男の死体には、赤いリボンで括られた殺人請負業の広告チラシが口に押し込まれていた。その被害者の名は佐藤和夫。雪平刑事の元夫にして愛娘の父にあ…

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蛇が母になって部屋にやってくる、不穏な気配に満ちた謎物語

蛇が母になって部屋にやってくる、不穏な気配に満ちた謎物語

「蛇を踏む」は、たいそう面白い小説なのである。ただし、「笑っていいとも」かなんか見ながら「明星一平ちゃん」をすすったそのまんまの気分でダラダラ読み始めたりすると、なにがなんだかさっぱり分っからねえ事態に陥るので要注意ではあるのだ。 なにを準…

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完璧に見える推理を次から次へと反証するぜいたくきわまりない読み心地

完璧に見える推理を次から次へと反証するぜいたくきわまりない読み心地

アンソニー・バークリーの「毒入りチョコレート事件」は、推理小説です。そう書かなくとも、まさかこれを恋愛小説だと思う人はいないとは思いますが。このタイトルでめくるめくラブストーリーを書いた人がいたら、自分の恋愛観について反省した方がいいでし…

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この笑いをオバンやオジンに独占させておくのはもったいない

この笑いをオバンやオジンに独占させておくのはもったいない

いまお笑い芸人ていうと、ボケとツッコミに分かれた二人組が主流で、似たようなボケに似たようなツッコミを延々とテレビではくり返して飽きもしないけれど、僕ら少年時代はいわゆるピン芸、ひとりでしゃべりを繰り出す「漫談」とか「物まね」とか話芸じゃな…

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