KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

「岡野宏文」のレビュー・書評

私が私であることを脅かす、記憶をめぐる最恐ホラー短編集

私が私であることを脅かす、記憶をめぐる最恐ホラー短編集

82年制作の映画「ブレードランナー」は、都市論や物語論などに多くの革新的イメージを与えたものだが、人間てのは記憶のことだというまったく新しい人間観も作り出してしまった。当時の人たちにとってこれは衝撃的だった。我々人間は、自分という確かな個を…

もっと見る

崇高な光を宿した挿絵入りダイジェスト版聖書

崇高な光を宿した挿絵入りダイジェスト版聖書

聖書物語というのは、ガチ聖書ではなくて、聖書に載ってるいろいろなお話を短く分かりやすく書き改めて一冊にまとめた入門書、ダイジェスト版、まあそういったものですね。 聖書はキリスト教のベースブックだから、どうせ宗教がかりの、抹香臭くて説教じみて…

もっと見る

70年代の日本に社会現象まで巻き起こしたパニック&ディザスターの古典的傑作

70年代の日本に社会現象まで巻き起こしたパニック&ディザスターの古典的傑作

2011年7月26日、日本SF小説界を代表する作家・小松左京が逝去されました。 東北地方太平洋沖地震発生の年の鬼籍入りは、なにやら暗示めいた偶然の一致を感じさせずにおきません。いうまでもなく小松には、日本中をパニックめいた社会現象に陥れたディザス…

もっと見る

超カルトなペダントリーの迷宮で読者を茫然とさせる圧倒的ミステリー

超カルトなペダントリーの迷宮で読者を茫然とさせる圧倒的ミステリー

夢野久作「ドグラマグラ」中井英夫「虚無への供物」そしてこの小栗虫太郎「黒死館殺人事件」は、ミステリーにおける日本三大奇書といわれている。 いわれているだけあって、そのヘンテコぶりは3冊それぞれに、なんというかなりふりかまわず垂れ流されていて…

もっと見る

鳥肌ものの偶然の一致、世の中にゃ信じられないようなことが起こってる

鳥肌ものの偶然の一致、世の中にゃ信じられないようなことが起こってる

怖いくらいに意味のある偶然の一致って知ってますか。ま、チョコボール食べてて2度続けて金のクチバシが出たとか、その程度じゃありませんのよ。神様が導いたんじゃないのって、そのくらいな偶然。 心理学者ユングは、これをシンクロニシティと名付けて、心…

もっと見る

意固地なキャラクターからにじみ出る滑稽観にはスルメのような味わい深さが

意固地なキャラクターからにじみ出る滑稽観にはスルメのような味わい深さが

わたしは井伏鱒二の作品がたいへん好きで、選集と全集を二度にわたって購入している。エライ散財である。 なぜ二度も買い集めたかというと、一度目が「井伏鱒二自選選集」という15巻ばかりのベストセレクト集で、ところがこれに収められた彼の代表作「山椒魚…

もっと見る

存在の奥底まで届く悲しみは人々を深く癒やす

存在の奥底まで届く悲しみは人々を深く癒やす

息子はひきこもりで家庭内暴力、妻は不特定多数の男と不倫をくり返し、自分もとうとうリストラの憂き目に会い、家族はバラバラ。 「死んじゃってもいいかなあ、もう」 そんなつぶやきももれる夕刻に、もうなんの希望もなくなったまま投げやりな絶望感に沈み…

もっと見る

大文豪にしてはあまりにロマンチックな淡い恋心の物語

大文豪にしてはあまりにロマンチックな淡い恋心の物語

ちょいと前に「カラマーゾフの兄弟」の猛烈なブームがあって、ドストエフスキーの名前も以前よりは知られるようになったわけですが、「暗い、深刻、長い」の3ポイントが特徴っつうイメージがゆきわたってるんではないかしらん。いや、そうなんですけど、ドス…

もっと見る