わがまま魔法少女と頑固一徹じいさん。なんという微笑ましい出会い!【第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作】
第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作品、というだけで興味をそそられる人も多々いようが、とりあえずはこのマンガのおすすめポイントを聞いてほしい。それは“萌え語り”、と呼ばれるものかもしれない。
年齢を重ねるということは、経験とそれに伴う知識をバームクーヘンのように重ねていくことだと思う。そんな経験と知識のカタマリであろうお爺ちゃんが、このマンガに登場する蔵六というキャラクターだ。新宿歌舞伎町という雑多な街で、イベントに使用する花の手配とフラワーアレンジメントなんていう、いかつい顔に似合わない仕事を生業としている、自他ともに認める「曲がったことは大嫌い」な、絵に描いたような頑固一徹じいさんだ。
そんな頑固じいさんが、「思い描いたものを何でも具現化できる」という不思議な能力を持った紗名と出会うことで物語は始まる。そんな超能力を持つ紗名は例によって、その力をなんらかの企みに利用しようとしている謎の研究所に幽閉されており、その研究所の悪行をふとしたきっかけで知った彼女はそこを「ぶっつぶしてやろう」と思って脱出し、追手から逃げている最中に蔵六…