【なぜ人はアイドルに熱狂するのか?】切っても切れないアイドルと「経済」関係
『アイドル国富論 聖子・明菜の時代からAKB・ももクロ時代までを解く』(境 真良/東洋経済新報社) 個人的な話で恐縮だが、筆者はアイドルに熱狂したことがこれまでない。松田聖子、おニャン子クラブからSPEED、AKB48と振り返ると様々なアイドルにメディアを通じて触れる機会はあった。だが、誰か、あるいは特定のグループのファンになったことは一度もないのだ。
一方で、いつの時代にもアイドルを追いかけ、時間とお金を投資しながら、一生懸命声援を送る人たちがいる。あなたはどちら側の人間だろうか? これが信仰ならば(アイドルをキリストに喩えた社会学者もいるが)、様々な説明がなされてきた。しかし、熱狂しない側、熱狂する側いずれに尋ねても、「関心がない」「好きだから好き」以外の明確な答えがなかなか返ってこないのが、アイドルという存在の不思議なところなのだ。
ところが、ここに「経済」という意外な切り口を持ち込んで、1つの答えを出した人がいる。国際大学GLOCOM客員研究員で、経産省で分析官を務める境真良氏だ。境氏は、著書『アイドル国富論』(東洋経済新報社)で、日本…