まさに名人芸! 進化し続けるあだち充作品
デビューから42年、『タッチ』『H2』など青春マンガの金字塔を数々打ち立ててきたマンガ家・あだち充。その作風で特徴的なのは、連続性の中で笑わせるコマ割り、作者が作中に登場するメタ構造、繰り返し登場するパンチラや水着……もはや様式美とも呼べる「あだちスタイル」だ。『ダ・ヴィンチ』12月号のあだち充特集では、「あだちスタイル」の特徴と変遷を、米沢嘉博記念図書館の運営も手がける気鋭のマンガ研究者・斎藤宣彦が徹底分析している。
「ヒラヒラくん」シリーズで出会ってから35年来のあだち充ファンだという、マンガ研究者の斎藤宣彦さん。まずは「あだち充は、非常に落ち着いた“マンネリズム”の王道をずっとやってきた作家のように見えるかもしれないんですが、実はそうではないんですよ」とひとこと。
「私たち読者は、長い人だと子どもの頃から何十年も“あだちスタイル”の作品を見てきているので変わっていないように思ってしまうんですが、あだちさん自身は、冒険して少しずつ変わりながらスタイルを固めていった作家なんです」
初期の作品を見てみると、描き込みの多い劇画タッチの作品など、…