誰だって“酒の力”を借りたい日もある――酒を片手に読みたい『酒呑みに与ふる書』
「酒呑み」という言葉にはどこか郷愁を感じる。私自身、決して大酒飲みというわけではないが、酒のある時間は大好きだ。友人と一緒にワイワイと、また自宅で夕食後に一人で嗜む程度に酒を楽しんでいる。かつて、日本を代表する文豪たちの中には酒豪も多かっ…
「酒呑み」という言葉にはどこか郷愁を感じる。私自身、決して大酒飲みというわけではないが、酒のある時間は大好きだ。友人と一緒にワイワイと、また自宅で夕食後に一人で嗜む程度に酒を楽しんでいる。かつて、日本を代表する文豪たちの中には酒豪も多かっ…
今年2019年は作家・サリンジャー生誕100周年。書店などで彼の作品を目にする機会が多くなるだろう。現在、彼の自伝的映画『ライ麦畑の反逆児』(映画公式サイト)も公開中だ。 ふだんあまり小説は読まないし、「『ライ麦畑』や『バナナフィッシュ』といった…
『巨大なラジオ/泳ぐ人』(ジョン・チーヴァー:著、村上春樹:訳/新潮社)は、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の作者J・D・サリンジャーと同時代に、都会派の作家として活躍した著者の短編21篇を村上春樹が翻訳したものだ。 収録されている作品は1940年…
作品数、実力はもとより、長年にわたり世界中から圧倒的な人気を誇る文学界のスーパースターである村上春樹氏。氏の文学作品には、独特の比喩表現や「ここではない世界」との摩訶不思議な繋がりと、ほろりと切ない恋愛エピソードが絶妙に絡み合い、私たちを…
2018年7月6日、26日は、地下鉄サリン事件の被害者にとって忘れられない日となったことだろう。これらの日は、オウム真理教のかつての教祖・麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚ら13人の死刑が執行されたからだ。 今から23年前に起きた地下鉄サリン事件は、若者に…
2016年、ノーベル文学賞を受賞して世界を驚かせたボブ・ディラン。アカデミーの公式発表によれば、受賞理由はディランが「アメリカの歌の伝統にのっとって、新しい詩の表現を創造した口語で表現する偉大なる“詩人”」であること。とはいえ文豪や大著を持つ作…
2017年3月に出た、これまでの翻訳仕事についてまとめられた『村上春樹翻訳ほとんど全仕事』(村上春樹/中央公論新社)で「今訳しているところ」と村上春樹が言及していたアメリカの作家、グレイス・ペイリーの短編集『その日の後刻に』(文藝春秋)が出版さ…
「オールド村上主義者」が『騎士団長殺し』を読むきっかけになれば、というスタンスでお送りしている「村上春樹作品に共通することに関するあてどもない考察」。過去の作品との類似点についてあれこれとご紹介する第2部は〈奇妙に符合する妙なキャラ編〉と題…