本格ミステリの原点に立ち返った新連載『ローズマリーのあまき香り』島田荘司さんロング・インタビュー
新本格ミステリの牙城として知られた講談社・文芸第三出版部の小説雑誌「メフィスト」が、会員制読書クラブ〈メフィストリーダーズクラブ〉の会員向け雑誌として新たなスタートを切った。すでに送付が始まっている「メフィスト」vol.1には、本格ミステリの巨匠・島田荘司さんの新連載『ローズマリーのあまき香り』も掲載されている。1970年代のニューヨークを舞台に、幻想的な謎が描かれる島田ミステリの真骨頂。執筆の背景について、島田さんにうかがった。
(取材・文=朝宮運河)
――新本格ムーブメントの全盛期を支えた雑誌「メフィスト」がリニューアル、〈メフィストリーダーズクラブ〉の会報誌として新たなスタートを切りました。島田さんはこの動きをどう受け止めておられますか。
島田:いいことだと考えています。私はよく作家デビューを目指す人から「長編と短編、どちらを書いたらいいのでしょう」「短編も力を入れる必要があるんでしょうか」と質問されることがある。かつては「長編5本、短編15本書いてから作家としてスタートするのがよいでしょう」と答えていましたが、最近は小説雑誌が力を失って、…