KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

かげろうの日記遺文 (講談社文芸文庫)

かげろうの日記遺文 (講談社文芸文庫)

かげろうの日記遺文 (講談社文芸文庫)

作家
室生犀星
出版社
講談社
発売日
2012-07-11
ISBN
9784062901642
amazonで購入する

ジャンル

かげろうの日記遺文 (講談社文芸文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯

まずはじめの一行「彼女の人眼を惹いているわけは、見るとすぐにひやりとさせる顔の冷い美しさだった。」に心を射抜かれた。真っ白な肌とつやつやとした長い黒髪がすぐ目の前に現れたかのような心地。2人の女を愛したい優しくしたいと思いながらも他の女(3人目)の元へ行かずにはいられない身勝手な男の心理、男によってもたらされる美しい姫たちの苦しみ嫉妬。ひとりその地点から抜け出したような小路の女・冴野はまるでこの世の者ではない女のようだった。読み終えてうっとりと物語世界に読み暮らして戻ってきた気分だった。

2016/09/08

メタボン

☆☆☆☆★ ひたすらに美しい言葉でつづられる平安絵巻。町の小路の女、冴野。兼家にとっては都合の良い女なのであろうが、そのひたむきさに輝きを見た。紫苑の上の思い悩む姿もいとかなし。

2017/10/17

翡翠

心を表す言葉が、こんなに沢山あることに驚愕。どうとも言えない、なんといえばよいのかわからない心の動きを、犀星は一粒残らず掬って鮮やかな色彩で描いてみせた。また、その言葉の美しさよ。日本語とは本来こんなに美しく、情緒に溢れた、儚いものだったのか。放たれた砂粒は、輝きだけを残して散ってゆく。まさに蜻蛉である。室生犀星って凄い。

2022/01/31

★★★★★(昔、堀辰雄の「かげろうの日記」を読んだ事がある。犀星と堀辰雄の繋がりは深い。それは二人の小説等を通して見てもよく分かる。その犀星が堀辰雄の死後、「かげろうの日記遺文」を書いた事もある意味興味深い。犀星の町の小路の女へ対するの思い。そして道綱母こと紫苑の上の何とも言えない魅力と変化。全篇を通して、犀星独特の蜻蛉の日記となっており、最終章は原作とも堀さんとも違う味を出す。瞬時の美しさ、その美しさと儚さ、優しさと悲しさはまさに陽炎(蜻蛉)のようであり、犀星の実母と妻に捧げる一冊でもある。)

2012/11/13

n.k

不思議な言葉運び、浮遊感がある。一夫一妻制が当たり前今の日本人の感覚では、理解し難い男女関係。それぞれの感情と、それを伝えたいのか隠したいのかよくわからない言い訳?めいた言葉の数々が、細かく描かれていて興味深かった。冴野という人の、身の引き際の潔さは別にかっこいいとは思わなかったけれど。むしろ選ばれなくなった女たちの嫉妬、不器用な愛こそ美しく思える。

2023/07/18

感想・レビューをもっと見る