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鈍色幻視行

鈍色幻視行

鈍色幻視行

作家
恩田陸
出版社
集英社
発売日
2023-05-26
ISBN
9784087714302
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「鈍色幻視行」のおすすめレビュー

恩田陸が描くミステリー・ロマン! 豪華客船と“呪われた”小説… 謎と秘密を乗せた航海が始まる

『鈍色幻視行』(恩田陸/集英社)

「密室」とは、私たちミステリー好きにとって、なんて甘美な響きをもつ言葉なのだろう。外部から切り離された閉鎖空間。そこでは、その場でしか生み出すことのできない独特な空気が醸造される。そこで育まれるのは、友情なのか、愛情なのか、それとも、憎悪なのか、嫌悪なのか。ミステリー好きならば何が巻き起こるのか、見届けずにはいられない。

 そんな、ミステリー好き、さらには映画好きを虜にするに違いない物語が『鈍色幻視行』(恩田陸/集英社)。15年の連載期間を経て、書籍化された恩田陸氏によるミステリー・ロマンだ。海の上の豪華客船。そこに集められた一癖も二癖もある乗客。彼らが皆、愛してやまない“呪われた”小説と、頓挫し続けるその映像化……。ミステリー好きならば、そんな舞台設定を知るだけで、心躍らずにはいられないが、実際、ページをめくれば、もう止まらない。恩田陸流『オリエント急行殺人事件』とでも表現すればいいだろうか。誰も逃げ出せない「密室」で繰り広げられる胡乱な人間たちの会話は、アガサ・クリスティ作品を彷彿とさせる。『冷血』や『シャイニン…

2023/5/26

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『夜果つるところ』(恩田陸/集英社)

 2023年6月26日、恩田陸の小説『夜果つるところ』(集英社)が発売された。同作は今年5月に発売されたミステリー・ロマン大作『鈍色幻視行』(集英社)の作中に登場する小説である。著者の「本格的にメタフィクションをやってみたい」という思いから実現した今回の作中小説“完全単行本化”企画は、早くも読書家の間で大きな話題になっているようだ。

『夜果つるところ』は、謎多き作家「飯合梓」によって執筆された幻の小説。これまで何度か映像化の話も出ていた人気作なのだが、いつも撮影中に何らかのアクシデントに見舞われ、計画が頓挫してきた。ある時は撮影のセットが燃え上がる事故が起こり、またある時は撮影中にカメラマンが急逝…。いつしか同作は、“呪われた小説”と呼ばれることに。

『鈍色幻視行』では、そんな『夜果つるところ』にまつわる謎を解き明かすべく参加した、関係者が集うクルーズ旅行での出来事が描かれている。

『鈍色幻視行』(恩田陸/集英社)

 そして肝心の『夜果つるところ』だが、同作で描かれているのは遊廓「墜月荘」で暮らす“私”の物語。主人…

2023/8/1

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恩田陸が15年かけて生み出したミステリー・ロマン大作『鈍色幻視行』が発売! 呪われた小説『夜果つるところ』の謎に迫る…

『鈍色幻視行』(恩田陸/集英社)

 2023年5月26日(金)、人気作家・恩田陸の最新作『鈍色幻視行』が発売された。同作はおよそ15年もの執筆期間を経て書籍化されたミステリー・ロマン大作。謎が謎を呼ぶ波乱の展開は、発売直後からミステリー好きの心を掴んで離さないようだ。

 物語のカギを握るのは、作家・飯合梓の“呪われた”小説『夜果つるところ』。撮影中の事故により何度も映像化が頓挫したといわれる“いわくつきの小説”で、昨年も業界で名の知れたカメラマンがドラマの撮影中に急死している。しかも亡くなる数日前には、「予定のエキストラより人数が一人多くて、その一人がいつも変なところに立ってる」と妙なことをぼやいていたらしい。

 もちろんドラマはお蔵入りとなったものの、そんな矢先に開かれたのが『夜果つるところ』の謎を解き明かすためのクルーズ旅行。物語の主人公にして、飯合梓の謎を追う小説家・蕗谷梢も参加者の一人だ。

 夫の雅春とともに乗り込んだ豪華客船には、映画監督の角替や映画プロデューサーの進藤、編集者の島崎、漫画家ユニット・真鍋姉妹など、『夜果つるところ』にひとかた…

2023/6/12

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鈍色幻視行 / 感想・レビュー

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starbro

恩田 陸は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。“呪われた”小説『夜果つるところ』に纏わる幻想譚巨編、鈍色なまま一気読みしました。続いて『夜果つるところ』へ。トータルの感想は『夜果つるところ』読了後に。 https://lp.shueisha.co.jp/ondariku/

2023/07/08

パトラッシュ

映像化が必ず挫折する「呪われた小説」をめぐり、関係者が乗り合わせた豪華客船で秘密を探っていく作家。贅沢な舞台と曲者だらけのキャラがどの方向に向かうかと楽しみに読み進めたが、ラストは全部の色を混ぜた文字通り鈍色の霧に覆われて幻を視ているように終わってしまった。ミステリもホラーもSFも器用にこなす作者だが、第四のジャンルとして本書や『ユージニア』のような「何とも形容しがたい不可解さ」も指向するようになったのか。現実はこんなものという考えかもしれないが、やはり読者としては明確な白黒のついた結末が欲しいところだ。

2023/06/23

うっちー

直木賞受賞後らしい作品。読解力が必要。とりあえず、「夜果つる」を読みます

2023/06/28

stobe1904

【このミス2024 第9位】過去に幾度となく映画化が試みられたが頓挫した作品『夜果つるところ』の関係者一同が集まるクルーズ旅行に作家の梢と夫は乗り込み、作品とその作者に対する取材を開始するが…。取材とインタビューによって作品と作者の謎に迫る構図は、地味で派手な展開はないため期待値によって評価が分かれると思う。ミステリやホラーではなく小説としては読み応え十分で、着地が予想できない不安定さが逆に読ませる力を強める。そしてクロージングはまさに鈍色。個性的な作品なのでこのミスにランクインしたのは意外。★★★★☆

2024/03/30

のぶ

何ともミステリアスな雰囲気を漂わせた作品だった。それも全体を支配する飯合梓の書いたとされる小説「夜果つるところ」のミステリアスな部分が多いからだと思う。主人公は小説家の蕗谷梢。撮影中の事故により三たび映像化が頓挫したこの小説、関係者が一堂に会するクルーズ旅行に夫の雅春とともに参加した船上で、映画の制作に関わった人たちが梢の取材に応えて語り出す。恩田さんは「夜果つるところ」を本作が出た翌月に出版するという事で、その内容が何とも待ち遠しい。それを読むまでは作品も未完だし、本当の感想はその時に出したい。

2023/06/11

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