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月の船でゆく (光文社文庫 な 25-2)

月の船でゆく (光文社文庫 な 25-2)

月の船でゆく (光文社文庫 な 25-2)

作家
長野まゆみ
出版社
光文社
発売日
2003-10-10
ISBN
9784334735678
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月の船でゆく (光文社文庫 な 25-2) / 感想・レビュー

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カナン

寒い夜に再読。静かの海から出港した船は、今頃地球までどのくらいの距離を泳いでいるだろう。色違いの手袋はあたたかいでしょう、繋いだらもっともっとあったかくなるでしょう。ぬくいココレットにマシュマロをゆるゆると溶かして、気ままな君と月面図(ルカリナ)を見つめ寄り添いながら一緒にそっと月を見上げてみる。ショコラみたいに甘くてミルクみたいに濃くて、冴え冴えと深い夜色をしたその最果てから君を迎えに来る船が来る。多分だけれど、それはきっと、とてもとても、美しい姿をした船なのだろうね。長野まゆみの少年達は永久に美しい。

2022/02/21

カナン

学生ジャスの前に現れたのは、黒い瞳に真珠の光を宿した謎の少年ティコ。彼は月から来たのだという。パパを探して四年もかけて。冬の凍った朝に飲むココレットのほろ苦さと、指ごとくわえた氷の味。夢の象徴だった回転木馬。くるりと一周した時に、どうかあなたがそこで手を振ってくれていますように。ぼくをここへおいてくれますか。キャメルから黒に変えた革手袋はもう受け取ってしまった。どうしようかなって抱きしめる。ココレットにはマシュマロを溶かしてあげる。瞳の真珠は月色になる。四年前に静かの海を出た船は、次の満月までまだ来ない。

2020/11/13

紅香@新刊購入まで積読消化あと3冊⭐︎

冬はずるい。ほんの温かい飲み物ひとつ、灯りひとつで幸せな気持ちにさせられる。夏より冬。私は冬に恋をする確率が高い。温かさを温もりを眼差しをその手の温度をいつも以上にまともに受け止めてそれを毛糸に変えてマフラーに手袋に帽子にして全身くまなく、ぬくぬくしてしまうせいだ。。物語の舞台が冬。ココレット。『夜猫』で拾った物語。幻に似た出会いひとつでも角砂糖分の温もりが体に沁みてきてじんわり温かい。寒さに素直に寒いと誰もが合言葉みたいによりそう。見失わないよう、寒くならないよう互いに思いやる。この季節が好きな理由。

2014/12/07

kana

小学校の頃に読んでうっとりとした記憶があり、懐かしく再読。貧乏学生ジャスの前に突然現れた謎多き少年ティコが大変可愛らしくきゅんとします。手袋を渡されたり、回転木馬に乗る間に手を振ってほしいと切望されたり。筋書きは完全に忘れていましたが、当時魅せられた言葉の煌めきは今もなお衰えず。冒頭からメリーゴーランドを回転木馬と呼ぶハイカラな雰囲気にときめき、特に灰白(かいはく)、象牙色(アイヴォリー)、灰碧(ブルーグレイ)などの色彩の描写に心踊ります。著者らしいふわりとした幕切れまで切なくも楽しませていただきました。

2018/06/12

coco夏ko10角

回転木馬、ココレット、革手袋…。真冬だけどどこかあたたかくてのんびり流れる時間。不思議な少年・ティコはそうだったのかと。叔母さんとパロマ…著者作品に登場する女性ってこういう感じの人多いなぁ。

2016/08/26

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