稲垣吾郎が選んだ1冊は?「僕自身、当時やり残したことがあると感じ続けているんだと思います。」
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年12月号からの転載になります。
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、稲垣吾郎さん。 (取材・文=松井美緒 写真=山口宏之)
稲垣さんが『少女は卒業しない』を手に取ったのは、上梓されたばかりの2012年のこと。朝井リョウさんともちょうどこの時期、番組を通して知り合った。今年2月に公開された映画版を観て読み直し、改めてその面白さに心打たれたと言う。 「この小説の繊細な言葉が、とても心に響きました。朝井さんは誰が主人公でも、ものすごいリアリティで書かれますよね。本当にモンスター級の作家さんだと思います」 リアリティがあるからこそ、普遍的に読者を惹きつける。稲垣さんは、自身の中学の卒業式に思いを馳せた。 「高校は芸能コースなので、僕にとって卒業というと中学なんです」 そして思い出すのは、むしろ経験できなかったこと。 「中学からもう仕事をしていたので、何というか皆と同じ学校生活ではありませんでした。当時はテレ…