山田真歩「まるで白昼夢を観ているような気持ちになる、3人の男女の愛の形を描いた物語です」
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、11月より公開される映画『アレノ』に出演している山田真歩さん。エミール・ゾラの『テレーズ・ラカン』を日本に置き換えて作られたというこの作品は、静かながらも激しく、叙情的な映画となっている。はたして山田さんが本作を通して感じたものとは――?
事故を装って夫を湖に沈め、その溺死体が見つかるまでの間、妻は幼なじみの不倫相手とラブホテルで過ごす――。映画『アレノ』に登場する2人の男女は何度も激しく抱き合い、愛を確かめ合うが、その心はなぜか冷めているようにも見える。
「とても静かで、淡々と物語が進んでいく。そこには愛なのかどうかも分からない感情だけが描かれていて。台本を読んだ時、この不思議な世界を形として残してみたいと思ったんです」と山田さん。 「役名がないというのも、面白かったですね。最初のプロットの段階ではちゃんとあったんですが、どうもしっくりこなくて。台本になった時に『妻』『夫』『愛人』という表記に変わりました。誰…