「もう二度と恋愛小説は書かない」と西加奈子を打ちのめした、究極のラブストーリーとは?
『サラバ!』などの著作で知られるあの大人気作家・西加奈子氏を打ちのめし、「もう二度と、恋愛小説は書かない」「この世界にこんな凄まじい恋愛小説があるのなら、私は書けない。書く必要はない」とまで思わせた本がある。それは島本理生氏の『あられもな…
『サラバ!』などの著作で知られるあの大人気作家・西加奈子氏を打ちのめし、「もう二度と、恋愛小説は書かない」「この世界にこんな凄まじい恋愛小説があるのなら、私は書けない。書く必要はない」とまで思わせた本がある。それは島本理生氏の『あられもな…
文字を追っているはずなのに、音楽が聴こえてくる。読者は時にコンサートの聴衆になり、時にピアニストにもなれる。メロディが聴こえてきたら、次は映像まで浮かぶ。聴覚と視覚が、文章に喚起される。そんな「新体験」をもたらす無二の作品だった。 『蜜蜂と…
「誰もが皆、この世界という舞台で、それぞれの役割を演じている」。 『舞台』(西加奈子/講談社)は、自意識過剰でめんどくさい青年が、ニューヨークでの「事件」をきっかけに「世界の見方」を変える、笑えて切ない成長物語である。 29歳の葉太は、父親の遺…
『通天閣』(西加奈子/ちくま文庫)の始まりは、何だか暗い。 大阪ミナミのマンションに住む「俺」の生活は、わびしい中年男性の一人暮らしだ。家族も恋人もいない。散らかった部屋に、粗末な食生活。工場勤務。日々、百円均一で売っている商品の組み立てと…
『円卓』(西加奈子/文藝春秋)は、祖父母と両親、そして三つ子の姉たちに愛されて育った末っ子でありながら「孤独」を愛し、大らかで優しい家族たちを「凡人」「阿呆」と蔑む、偏屈で口の悪い小学3年生の女の子、渦原琴子(うずはら・ことこ)――愛称「こっ…
暗闇での「福笑い」を唯一の趣味としている一風変わった女性・鳴木戸定(なるきど・さだ)が「世界に恋する」までを描いた小説『ふくわらい』(西加奈子/朝日新聞出版社)。 本作は、第1回「河合隼雄物語賞」に選ばれている。その賞の受賞作を決めるにおいて…
「夫婦の愛」が一つのテーマとなっている『きいろいゾウ』(西加奈子/小学館)は、映画化もした人気作だ。 西加奈子さんの作品の中では、独特の世界観でありながら、多くの人の共感を得られる、分かりやすいテーマだと思う。(その分、下手に書くと薄っぺら…
西加奈子さんを一躍有名にした出世作『さくら』(西加奈子/小学館)。壊れた家族と愛犬「サクラ」の物語は、今もなお、読み継がれている感動のロングセラーである。 大学生の「僕」は、とある手紙を見ている。「年末、家に帰ります。おとうさん」。この文章…