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詩人 金子光晴自伝 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

詩人 金子光晴自伝 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

詩人 金子光晴自伝 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

作家
金子光晴
出版社
講談社
発売日
1994-07-05
ISBN
9784061962811
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詩人 金子光晴自伝 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ) / 感想・レビュー

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勝浩1958

「人間の理想ほど、無慈悲で、僭上なものはない。これほどやすやすと、犠牲をもとめるものはないし、平気で人間を見ごろしにできるものもない。いかなる理想にも加担しないことで、辛うじて、人は悲惨から身をまもることができるかもしれない。理想とは夢みるもので、教育や政治に手わたされた理想は、無私をおもてにかかげた人間のエゴでしかない。」と金子氏は仰っています。あの人にも、あの人にも、あの人にもこの言葉を聞いてもらいたいと思いました。

2014/02/13

肴食い

面白かった。特に著者の10歳前後の性的エピソードには衝撃を受けるばかりだった。さらに大人になってからの放蕩三昧な生活ぶり(ナチュラルに妻子を置いて外国に逃亡したり)にも亜然とした。何て人だ金子光晴。でも栄光を書きがちな中で醜い自分を書き連ねたこの自伝は返って魅力的でもある。自伝というのは、ともすると退屈しがちであるが本書は彼の無頼な生き方のせいで全然飽きることがなかった。ところで、第二次世界大戦中に人的資源不足のため役に立つはずの無い子供にまで召集令状が来ていたとはこの本で初めて知ったよ。狂っとる。

2012/07/18

unknown

終生、女性への眼差しを忘れなかった氏の幼少時のエピソードは、狂おしいほどの官能性と、感性の葛藤の狭間を見せている。6歳の頃に8歳の娘に誘惑され、着物の裾を開いた彼女の姿に衝撃を受け、すすめられるがままに彼女の股に体をすりつけ放尿した。10歳の頃に近所の娘の頬肉がぷるぷる震えるのを見て、「食べたい」という衝動以外に思慕の表現が見つからなかった。そして、幼いながらも「堕ちてゆく」自覚に苛まれていた、という。「堕ちてゆくその気持ちは、絶望的で、一すじで、純粋で快楽の極致といってもいいくらい激しいものだった。」

2012/04/11

hiratax

金子光晴をアジアで読む、というベターな行為をはじめてからどれくらいになるだろうか。先月ついに全集も買った。1万円以下で買えた。函入りの本を持ってゆくわけにはいかないので文庫本を。生い立ちからていねいに語られている。金子はアジア放浪(だけの)人ではないと知らされる。戦後、彼は一度もアジアへは行っていない。それは90年代に金子の遍歴を追った小林紀晴にも通ずるような気もする。本書はバンコクからアランヤプラテートへ向かう三等列車の車中で読んだ。遅れるとは聞いていたが4時間半のところ6時間を超えた。

2015/04/16

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