夏帆さんが選んだ1冊は?「うまく言葉にしづらいことの中にこそ、大切なものがたくさん詰まってる」
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年9月号からの転載になります。
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、夏帆さん。 (取材・文=斎藤春子 写真=TOWA)
〈「言葉が壊れてきた」と思う〉。そんな一文で始まる本作は〈言葉の壊れ〉に抗い、〈短い言葉では説明しにくい言葉の力〉を考える本だ。 「決して堅苦しい内容ではなく、とても読みやすいですし、心に残る言葉がたくさんあります。いろいろな人の言葉を、いろいろな角度から引用したエッセイの形なので、言葉に対する向き合い方をあらためて考えさせられました」 日頃からセリフと向き合っている仕事上、言葉に対して考える機会は多いと思う、と夏帆さんは続ける。 「いまはSNSやネットが普及して、世の中にいろんな言葉があふれていますが、わかりやすくキャッチーなフレーズで何かを伝えることを作者の荒井さんは危惧していて。私自身、言葉を簡潔にまとめることが苦手です。でもそうやって上手くまとまらなかったり、言葉にできないこと…