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ガーデン (文春文庫 ち 8-3)

ガーデン (文春文庫 ち 8-3)

ガーデン (文春文庫 ち 8-3)

作家
千早茜
出版社
文藝春秋
発売日
2020-08-05
ISBN
9784167915407
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生きづらさを抱えた現代人に潤いをもたらす感動作『ガーデン』が文庫に!

本日発売の「文庫本」の内容をいち早く紹介! サイズが小さいので移動などの持ち運びにも便利で、値段も手ごろに入手できるのが文庫本の魅力。読み逃していた“人気作品”を楽しむことができる、貴重なチャンスをお見逃しなく。 《以下のレビューは単行本刊行時(2017年5月)の紹介です》

 魂は必ずしも体とともにあるわけではないらしい。

 本書『ガーデン』(千早 茜/文藝春秋)の主人公・羽野は、東京に住み、出版社で編集者として働きながらも、その魂は幼き日々を過ごしたアフリカの地の「楽園」に留まったまま。文字通り「心ここにあらず」の日々を過ごしている。

 乾季と雨季しかない国で、そこだけはいつも変わらぬ緑が溢れていた旧居の庭――「楽園」は、こんな風に描かれる。 蛇がバナナの幹を這い、トカゲが石の上で銀色の腹を波打たせながら日光浴をする。庭師が伸びすぎた枝を長鋏でぱちんぱちんと切り落とす。その枝が芝生で跳ねてゆっくりと転がる。辺りに漂う樹液の青い匂い。 描写はさらに続くが、読み進めるうちに紙面から花や果実の芳香、そして草いきれが立ち上ってきた気がして、思わず深呼吸して…

2020/8/5

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ガーデン (文春文庫 ち 8-3) / 感想・レビュー

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やすらぎ🍀

この街は澱んでいるから限られた自然だけが救いとなる。全てが揃っているようで何もない。大切なものを覆い隠すように喪失感が広がっている。花だけが植物の本当の美しさではないように。人間のためだけに作られた果実が世界を満たす。種は永遠に芽生えようとしないのに。ここには庭しかなかった。星月も見えないのに常に明るい空。いつ眠りにつくかわからないのに笑っている夜。わかり合えない寂しさは当たり前なのか。適度な距離が心地よい美しさなのか。僕がここにいなければ都会の片隅で朽ちていくものもある。伝えようとしても伝わらないけど。

2023/05/24

さてさて

『あの頃、僕の世界は庭だけだった』。幼き日々を過ごした異国での生活の先に、『植物』に囲まれ、『植物』と暮らす主人公・羽野の日常を描くこの作品。そこには、『部屋の植物たちが心配なので、僕は滅多に旅行には行かない』…と、『植物』を中心とした毎日を生きる羽野の日常が描かれていました。『植物』を全編にわたって描いていくこの作品。そんな『植物』への羽野の強い想いに少し怖いものを感じさせもするこの作品。言葉を発しない『植物』の不気味な静けさが背景となる物語の中に、冷んやりとした独特な世界観が癖になりそうな作品でした。

2023/06/06

ベイマックス

はじめは植物の話しにイマイチ感出たけど、人間関係が絡んできて物語に面白味が出て来た。よかったです。

2023/02/26

あすなろ

物足りぬと言えば物足りぬ。ても、そんな男を描きたかったのかとも思う。植物が好きな、というか想いを寄せる主人公に匂い・音・生命を五感を使って感じさせて語らせる。もう一味欲しいと言えばそうとも言えるし、これはこれで良いとも言える、僕にとっては不思議な作品だった。

2020/11/01

クプクプ

期待以上に面白かったです。後半は息継ぎするタイミングがわからなくなるくらい、集中しました。千早茜さんが園芸に詳しくて驚きました。また、この小説は、植物に光を当てていますが、人間や恋愛のことはもっとしっかり書かれていました。東京の植物園が登場し、私も訪れた場所が出てくるので過去を懐かしく思い出しました。私も園芸や恋愛が上手くないですが、人それぞれの園芸や恋愛があっていいと、人生を肯定してくれた作品でした。

2023/09/12

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