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パリの砂漠、東京の蜃気楼 (集英社文庫)

パリの砂漠、東京の蜃気楼 (集英社文庫)

パリの砂漠、東京の蜃気楼 (集英社文庫)

作家
金原ひとみ
出版社
集英社
発売日
2023-04-20
ISBN
9784087445107
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パリの砂漠、東京の蜃気楼 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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olive

子供時代は、最も生きづらい時代だった。ただ苦しいだけの日々が永遠続いていた。楽しかったと思える日は一年の中で七日くらいしかなかった(本文より)「生きづらさ」の原点が書かれていた金原さんのエッセイ。死なないために、小説を書き、音楽を聴き、恋愛する、ことで生きている姿が赤裸々に語られいる。友達とかの話は「アタラクシア」を読んでるようだった。エッセイだけど小説のような一冊。

2023/12/24

ゆきらぱ

洗練されているのにどっしり地に足がついている文章。その上読んでいる私の力まで引っ張ってくれているのか(この気持ちわかるわかる)(行ったことのないパリの空気も感じられる)となんだまだ集中して読書出来るじゃないかと自分の能力を引き出してもらったような気分になった。恋愛至上主義とは書いてあるが恋愛に依存しない金原さん。何にも依存していない。書くことにも家族にも。ただ湧き上がってきているような。それがほんと読んでいて救われる。娘さん2人の様子が可愛い。夫もどこにも良いところは書いてないけれど良い人とわかってしまう

2023/05/05

R子

パリも東京も華やかなイメージだが、本書で語られるのはそこで暮らすことの不安や憂鬱だ。それは都市に結びついているというより、もともと抱えている生きづらさからくるものだろう。著者は自身の深くて暗い部分や、夫婦間・親子間での分かり合えなさについて向き合い率直に語っている。同じ出来事に遭遇しても、自分がいる国によって感じ方が変わるという話が興味深い。気候や言葉や文化が異なると、みえる世界も変わるのだな。また、音楽に救われた話や、文章を書くことについての話が素敵で、金原さんの小説も読んでみたくなった。

2024/02/16

桜もち 太郎

絶望だよね。破滅思考型、金原ひとみの初エッセイ。鬱、酒、自傷、希死念慮、様々なマイナスの文章が書かれているのに、飽きがこないのは何故だろう。『誰か本音を話せる人はいるの?』『大丈夫、わたしは小説に本音を書いている』『ずっとそうやって生きていくの?』『そうやって死んでいく』、一つひとつの言葉選びはさすがと思う。辛すぎてこの世界では生きづらい彼女。何故ここに存在しているのか、幼い頃からの思いだ。最後の子どもとお土産を見せ合うくだりでホッとした。この10年、死ぬことは考えなくなったらしい。家族がいるからこそだ。

2023/10/12

ゆずな

200ページ強とは思えない濃密さだった。一文一文への魂の込め方がすごいというか。実は金原さんの小説はまだ読んだことがない。本書には東京の書店で出会って、6年パリに住んでた小説家のエッセイは読みたい、と購入。一部はパリで読み進めてみたり。私も海外在住者だから響いた部分もあったけど、すごい身を削るような文章を書く人なんだなと。パリでもがいて、東京でうんざりして、どっちも居場所なんだけど、完全な安息などない。生きづらさを感じてる時に読むと、ひとりじゃないと思わせてくれる良作。私も助けられた1人。

2024/01/27

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