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あやかし草子 (集英社文庫)

あやかし草子 (集英社文庫)

あやかし草子 (集英社文庫)

作家
千早茜
出版社
集英社
発売日
2014-11-20
ISBN
9784087452495
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あやかし草子 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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おしゃべりメガネ

ホラーテイストで展開しながらも、しっかりと「愛」をテーマに書き綴る千早さん、本作もさすがでした。しかし、本音はやはり千早さんには現代の歪んだ「愛」を書いた作品をもっと書いてほしいかなと。恒川さんレベルに文章が洗練され、あまりにもキレイすぎて‘流れ’すぎてしまいます。本作は「あやかし」な生き物(もののけ)がそれぞれ登場し、あらゆる愛情を幻想的に表現します。純愛ファンタジーとでもいうべき作品でしょうか。個人的には『ムジナ和尚』がとても印象的でした。決して深すぎずも浅くはなく、まさしく「文学」の世界です。

2014/11/28

新地学@児童書病発動中

異形の者たちを切なく、美しく描く短編集。泉鏡花を思わせるところがあり、非常に好みだった。読みながら、こういう物語が読みたかったんだよ、と何度も思った。泉鏡花と異なる点もあって、それはどの登場人物たちが孤独を感じている点だと思う。その点が現代的だし、哀切な情感を生み出している。例えば、「天つ姫」のヒロインは気丈な性格の故、人間社会では浮いた存在で、天狗と心を通い合わせる。「機尋」が私のベスト。泉鏡花の世界に一番近い幻想文学の傑作。夕焼けと白繭の色の対照が絶妙。機を織る行為は物語を作る行為に近いのだ。

2017/06/25

ゴンゾウ@新潮部

人と人ならざるあやかし達との交わりを描いた短編集。鬼、天狗、ムジナ、龍、幽霊、座敷童と様々なあやかしが登場する。何故か恐怖心は全く感じない。むしろ懐かしい心地良さが漂っている。人との交わりであやかし達がより人間らしく思えて来る。【ナツイチ 2017】

2018/04/25

扉のこちら側

2018年174冊め。遠野物語のような、どこか懐かしいあやかしと人間との交わり。著者の作品を読むのは『魚神』に続いて2作目になるが、魚神ほど毒はなく、民話の趣がある。古ムジナが涙を理解する話が印象的。

2018/06/07

(C17H26O4)

人の世はこわいよ。だから鬼やムジナであるのがよいかもしれない。あやかしでありたいかもしれない。あやかしは、ただただ純粋であるだろう。惑わされるのは人間の方が常かもしれないが、でも、たまさかに、人間の情に触れて惑わされるあやかしでありたいかもしれない。それか、やはり、女のままでありたいかもしれない。鏡の中を毎日覗き、現し世ではない、こことは違うあちら側を毎日見つめる女で。いいえわたくしは見ませんよ、蛇もこの姿も仮の姿です、という女で。

2020/06/07

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